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AI技術を活用した市場監視業務の精度向上に向けた実証実験を展開中


東京金融取引所と富士通は、東京金融取引所が持つ市場監視のノウハウと、富士通が持つAI技術(アノマリ検知技術)に関するノウハウを融合し、市場監視業務の向上と効率化に向けた実証実験に取り組んでいる。

東京金融取引所と富士通の共同による実証実験が開始されたのは、昨年末から。東京金融取引所内にフィンテック推進室を立ち上げ(2017年2月にシステム部に統合)、フィンテック推進の一貫として、フィンテックの技術のなかでも、AI技術がどんなかたちで市場監視業務にいかせるかという狙いのもとに、共同実証実験が始まった。

検証の背景

その背景にあるのは、近年、FXトレードにおいて、注文や取引件数の増加に伴って、取引の透明性や公平性を確保し、安定した市場を維持することがより強く求められようになってきたことで、東京金融取引所としては、AIを活用することで市場監視業務の精度向上や効率化を検討する必要に迫られたからである。なぜなら、東京金融取引所が提供する「くりっく365」は、口座数が70万口座を突破し、証拠金預託額は実に4000億円を超えるまでに成長してきているからだ。

現在、東京金融取引所での市場監視業務は、約20名のスタッフが24時間3交代制で業務に当たっている。主に取り組んでいるのが、「不正・異常取引の防止」である。たとえば、マーケットメーカーの提示するレートに異常がないか、あるいは、アルゴリズを使った取引で注文が異常に暴走していないかなどを、さまざまな異常を検知し、市場流動性の変化や、急激な価格変動に対して、必要に応じた対応を常時行ってきている。

ところが、システムが多様化し、解析対象が膨大かつ複雑化してきており、人間が見るべきパラメータが多くなり、関係性の把握が非常に難解になってきているのも事実である。

そこで、正常時の稼働データを機械学習し、いつもと違う状態を自動的に検知できるアノマリ検知技術を活用することで、高度な分析ノウハウを必要とせずに、異常や故障に繋がる状態の変化(予兆)を高精度でとらえ、市場監視業務の精度向上や、効率化が達成できるかを検証することにした。

検証の概要

アノマリ検知技術とは、従来の分析手法とは異なり、いつもの正常な状態を機械学習することでモデル化しておき、その状態からはずれるいつもと違う状態をアノマリとして検知することで、異常の予兆を監視するというものである。このAI技術を開発したのは、富士通。実際には、富士通が提供するODMA予兆監視モデルを利用したアノマリ検知を行う。

手順としては、事前準備と運用の2つのステップにわかれる。事前準備では、過去1年における膨大な取引データを基にした機械学習により、いつもの状態のモデルを自動生成する。運用段階では、常時発生するデータを作成したモデルにつきあわせ、いつもと違う状態が発生していないかを検証する。

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東京金融取引所としては、2017年6月には実証実験の中間レポートをまとめる予定だが、AI技術を使ったアノマリ検知によって、人間の目では検知できなかったどんな異常が検知されるのか、市場関係者にとっては非常に興味深い実験ともいえる。

<辻 秀雄>