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【株式会社東京金融取引所】「平成29年3月期決算」「2017年度~2019年度中期経営計画」「平成29年度業務計画」記者発表会に潜入


2017年4月26日(水)、東京駅八重洲北口からほど近い鉄鋼ビル8階の東京金融取引所セミナールームで、15時30分から、株式会社東京金融取引所代表取締役・太田省三氏による記者発表会が行われた。議題は「平成29年3月期決算」をはじめ、「2017年度~2019年度中期経営計画」「平成29年度事業計画」の3点。

冒頭、太田社長は取引数量について、平成28年度は前年度に比べてすべて減少したことについて、次のように言及した。

「金利先物等取引が減少したのは、日銀のマイナス金利政策とイールドカーブコントロール政策が影響している。また、くりっく365の取引枚数の減少は、平成28年度の前半は円高で損を被った方も多く、その後のBrexitやトランプラリーなどがあり、前半の円高の影響で投資家が慎重になったことが要因のようだ。また、くりっく株365については、これも前半は株会が下がり、一時は1万5000円を割るなど投資意欲が冷え込んだ。その後景気が回復し、トランプラリーなどもあって少しは回復傾向になってきたが、ただ、トランプ政権の先行きが不透明なことも相まって、投資家が慎重になり、取引枚数が減少した」

取引数量推移(単位:枚、括弧内は1日平均枚数)

商品 平成27年度 平成28年度 増減率
金利先物等取引 2,283,338(9,320) 2,154,178(8,793) ▲5.7%
くりっく365 41,628,818(161,777) 39,627,814(152,416) ▲4.8%
くりっく株365 8,454,268(32,446) 5,493,975(33,357) ▲35.0%
合計 52,366,424(203,543) 47,275,967(183,566) ▲9.7%

 

その後、「2017年度~2019年度中期経営計画」の説明に移った。はじめに、概要について次のように述べた。

「我が国経済は、当面、企業収益が改善し、緩やかな回復基調が続くと思われるものの、米国の経済・通商政策や欧州各国の政治動向等により、先行きは不透明な状況が見込まれます。現在、「働き方改革」による労働生産性の向上・ワークライフバランスの実現や、金融機関の顧客本位の業務運営(フィデューシャリー・デューティ)等が政策課題となっていますが、中期的には、AIやIoTを活用する第4次産業革命により、既存の社会システムや 産業構造が一変し、金融機関とフィンテック企業の連携(オープン・イノベーション)が進む等、大きな変革の進行が予想されます。当社は、公的取引所として市場の公正性を確保しつつ、急激な社会変革、金融市場の変容に迅速に対応し、収益力の強化に積極的に取り組んで参ります」

そして、具体的な計画の内容について、資料に沿って説明を行った。

さらに、その後、「平成29年度業務計画」の説明に移った。市場環境と取引の見通しについて、太田社長は次のように言及した。

「為替証拠金市場は、世界経済の回復、日本経済の改善という実体経済面の基調、米FRBの利上げによる円安進行が予想される一方で、米国経済、通商政策と日米経済対話の帰趨、欧州各国の選挙結果等の国際政治動向等により、先行き不透明感が強い。そのため、『くりっく365』の取引数量は、平成28年度に比べて、低調な見通しとする」と。しかし、株価指数証拠金市場については、2017年1月23日から株式会社SBI証券【関東財務局長(金商)第44号】『くりっく株365』の取扱いを始めたこともあって、『くりっく365』とは逆に、「取引数量は増加が期待される」と断言した。また、短期金利市場については、日銀の超金融緩和策の継続が明確なこともあって、「金利先物等取引の取引数量は、極めて低い水準が継続すると見込まれる」と発言した。具体的な施策の面については、まず、証拠金取引では、①利便性の向上および投資仮想の拡大や、②新商品の上場、③新ビジネスへの参入などを挙げた。

①では、証拠金一体管理の導入による取引の推進や、『くりっく株365』マーケットメイカーの拡充、証券会社の自己売買の拡充および海外投資家のフローの拡大などに言及。②については、新たな通貨ペアの上場や多様な原資産の新商品開発などを。③では、FXのOTCクリアリングビジネスへの参入などについて説明した。

なかでも、新たな通貨ペアとしては、「メキシコペソ」を考えており、早ければ今年度中には取扱いを始める予定だ。また、多様な原資産の新商品開発については、ETFを原資産とした新たな商品の開発に取り組むという。
また、金利先物等取引の分野では、パック・バンドル取引のシステム整備による取引の拡大を狙うという。また、次世代システム開発によるコスト削減と利便性の向上や、IT活用による労働生産性向上とイノベーションの推進をあげ、さらに、人事給与制度の改革に乗り出すと明言。

金利システムと証拠金システムの統合については、平成31年度の前半には成し遂げたい以降で、この統合によって削減される経費は、5年間で20億円と見積もっている。しかし、システム統合には予算の面も含めていろいろな課題があり、金融庁からはお墨付きは得ているものの、東京金融取引所に参加しているFX会社の事情もあって、先行き、難題が待ち受けているようだ。

いずれにせよ、東京金融取引所は今年度から新たな事業展開に取り組んでいくことは確かで、その結果がどうなっていくが楽しみではある。

<辻 秀雄>