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【マーケットエッジ株式会社】OPEC減産延長でも、原油相場が急落した理由

提供:マーケットエッジ株式会社 代表取締役 小菅努


ロシア石油イメージ

石油輸出国機構(OPEC)加盟国とロシアなど非加盟国は5月25日、第172回OPEC定例総会に合わせて共同閣僚会合を開催し、協調減産を来年3月まで9カ月延長することで合意した。1月から協調減産を実施しているが、なお国際原油需給の歪みを解消できるのか不透明感が強く、原油相場が伸び悩む中、「政策」によるテコ入れが必要と判断した結果である。

しかし、同日の原油相場は協調減産延長というポジティブな材料に売り反応を示し、急落している。NYMEX原油先物相場は前日比2.46ドル(4.8%)安の1バレル=48.90ドルとなり、OPEC総会直前の52.00ドルから大きく下押しされている。

WTI原油先物15分足

(出所)CME、WTI原油先物15分足

その背景の一つは、単純な「買い材料の出尽くし感」である。原油相場は5月5日の43.76ドルをボトムに、協調減産への期待感を反映する形で3週間にわたって急騰地合を形成していたため、これによって当面の買い材料は出尽くしたとの評価が、強気のファンド筋に利食い売りを誘ったのである。

もう一つが、今回の合意内容に対する不満である。主要産油国は既に世界的に在庫取り崩しが開始されているため、1月から実施している協調減産をそのまま延長すれば、在庫環境の正常化(=5年平均への回帰)が実現すると予想している模様である。ただ、マーケットでは本当に在庫環境の正常化を目指すのであれば減産量の引き上げが必要といった見方もあり、事前に一部産油国からは減産量の変更も検討されていることが明らかにされていた。しかし実際にはこれまでと同様の減産体制を維持する決定に留まったことで、「期待外れ」との評価もみられたことが、減産延長合意にもかかわらず原油価格を下押しした訳だ。

マーケットが注目する減産合意内容の異常さ

主要産油国は今回、9カ月の減産延長を決定したが、これは異常なことである。なぜなら、今年は11月30日にもOPEC総会が開催されるため、来年1~3月期にも減産を継続する必要があるか否かは、今回と同様に11月時点で協議すれば十分なためだ。その当時には需給見通しが今と大きく変わっている可能性もある。

それにもかかわらず年末までのみならず、来年3月までの減産延長を決定したことは、「協調減産による需給リバランスを目指す強い意志」を示したと同時に、「そこまで踏み込まなければ需給リバランスは実現しないのかという警戒感」も示した格好になる。

世界の石油在庫は2月以降に減少に転じており、国際エネルギー機関(IEA)の推計だと4~6月期は四半期ベースでも在庫減少が実現し、年後半は更にそのペースが加速するとされている。それにもかかわらず9カ月の減産延長というイレギュラーな決定をせざるを得なかったことが、マーケットに強弱双方のメッセージを送っている。

産油国が協調減産による需給リバランスに確固たるコミットメントを表明したことを好意的に受け止めれば、原油価格は強含みの展開が想定されることになる。年後半は北半球が石油の需要期を迎えることもあり、在庫環境が正常化に近づく流れが確認できれば、原油高が正当化されることになる。その際は、1~2月に抵抗を受けた50~55ドルの上限ブレイクが試される。

一方、今回の協調減産では不十分との見方が広がれば、主要産油国に対して減産規模の拡大を促すために、マーケットは原油安で追加の政策対応を迫る必要性が浮上することになる。その際は5月上旬にサポートされた45ドル水準を下抜けし、40ドル割れが試される。

WTI原油先物日足

(出所)CME、WTI原油先物日足

今回、OPECやロシアといった伝統的産油国が減産延長カードを切ったことで、今後の原油相場は改めてシェールオイル生産の実力を問う局面に移行することになる。筆者は年後半に向けて緩やかな上昇方向でみているが(参考:2017年の原油投資戦略を考える)、協調減産の延長合意でも原油価格が上げきれないことは、OPECやロシアといった伝統的産油国主導で原油価格が決定できる時代が終わっており、シェールオイル生産動向の需給インパクトが拡大していることを再認識させる。

※当記事は、投資に関する情報の提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。

提供:マーケットエッジ株式会社 代表取締役 小菅努

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