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【取材レポート】中国金融研究会(三思会)第53回研究会「激化する米中貿易摩擦」に潜入

2018年11月8日(木)18時30分から、東京・日本橋の日本橋室町野村ビル5階のBホールで、中国金融研究会の第53回勉強会が開催された。今回のテーマは、いまもっとホットな、「激化する米中貿易摩擦」。このテーマには関心が高いのか、200名近い人たちがホールに集結した。

米中貿易摩擦は、次第に貿易戦争にエスカレートし、摩擦の対象も、「貿易」と「為替レート」から、「技術移転」と「直接投資」に広がってきている。その背景には、中国政府による市場への積極的介入に象徴されるように、「中国モデル」に対する米国の不満に加え、米国が中国を戦略的競争相手国と見なすようになってきたことも要因の一つである。米国の対中政策が「関与」から「対立」に転じたことを受けて、米中貿易摩擦は長期化し、中国経済に大きな影響を及ぼすと考えられている。

そこで今回の勉強会は、野村資本市場研究所のシニアフェローである関志雄氏を講師に招き、米中貿易摩擦の背景、影響、今後の行方について、分かりやすく解説してもらった。

関氏の、「技術移転が米中摩擦の次の焦点になる」という観点は、中国国内でも注目され、中国社会科学院の『国際経済評論』(論文掲載)や、トップ経済誌である『財経』(単独インタビュー)で取り上げられている。
関志雄氏

米国の対中政策の変化
 まず、関氏は、米国の対中政策がかわったことについてこう語った。
「中国が欧米と異なる政治経済体制を維持しながら、経済大国として台頭してきたことを背景に、米国は対中政策を『関与』から『抑止』に転換した。クリントン政権時代は『戦略的パートナーシップ』、ブッシュ(子)政権時代は、『責任のある利害関係国』、オバマ政権時代は、『相互関係と互恵とウィン・ウィンの協力パートナーシップ』、そして、ブッシュ政権時代になってきたら、『戦略的な競争相手』と、米国の中国への見方が変わってきつつある。対中関与政策のときは、中国を本格的に国際社会の一員として受け入れ、中国に米国が担う責任の一部を担う『利害関係国』になってもらうという方針だったが、対中抑止政策になると、中国の行動と経済成長を抑え、米国が持つ世界における主導権に脅威を与えないようにする、という方針に代わってきている」

そして、対中「抑止政策」の三本柱は、中国における市場開放であり、対中技術移転の抑制、WTOをはじめとする国際貿易体制の改革、だと、関氏は指摘する。

このように、米国が中国への対応をがらりと変えたきっかけは、2018年10月4日に、マイク・ベンス米副大統領の宣言が影響を与えている。この対中政策全面見直し宣言によって、米中間は、経済分野にとどまらず、全面対決の様相を示すようになった。さらに、通商法第301条による中国制裁の発動も今回の貿易戦争の根底にある。

米国が中国を警戒するのはなぜか?
 ではなぜ、米国は中国に対して警戒感を強めているのか。そのきっかけになったのが、中国が打ち出した「中国製造2025」である。これは、次世代情報技術をはじめ、高度なデジタル制御の工作機械とロボット、航空・宇宙設備、海洋エンジニアリング設備とハイテク船舶、先進的な軌道交通整備、省エネ・新エネ車、電力設備、農業機械、新材料、生物薬品・高性能医療機器の10の重要分野として取り上げ、資金の優先的提供を通じた研究開発能力の向上や、海外からの技術の導入によって、競争力の向上を促そうとしている。

「第13次5カ年計画」や「インターネットプラス」といった国家主導の他の発展計画と合わせて、大きな戦略となっており、世界の製造業における中国の優位性を、確立しようとしていると、米国は警戒感をあらわにする。

なかでも、次の3つの側面を警戒すべきだと、米国は主張している。その3つとは、政府指導の強化、優遇政策と財政支援の強化、グローバル目標の設定である。

そうした中国の政策に対応して、米国がまず打ち出したのが、外資規制の強化である。これは中国を対象としたもので、中国がM&Aなどの対米直接投資を通じて先端技術を手に入れることを非常に警戒している。その対策として、外資による投資を対象とする安全保障審査の強化を進めている、というものである。

そして、2018年8月13日、トランプ大統領は、「2019年会計年度国防権限法」に署名をした。その法案のなかには、外国企業の対米投資を審査する外国投資委員会(CFIUS)の権限を強化する「2018年外国投資リスク審査近代化法(FIRRMA)」と、米国の重要技術の海外流出への対策を盛り込んだ「2018年輸出規制改革法」が含まれている。これらの法律には特定の国は明示されていないものの、いずれも主に中国への技術移転を制限することを目的としていると見られている。

その成果が現れたのか、トランプ政権になってから承認が得られず、断念にいたった買収案件は、主なものでも10件はあるが、そのうち、中国が絡んでいるものが、8件もあった。なかでも米中技術摩擦を象徴する案件としては、キャニオンブリッジによるラティス・セミコンダクター買収計画、アント・フィナンシャルによるマネーグラム・インターナショナルの買収計画、そして、中国通信機器大手ZTEに対する部品輸出などの取引を7年間禁止するという措置、などがあげられる。

中国政府の立場と対応への考え方
 こうした米国の動きに対して、中国では、タカ派は米国との貿易戦争には勝てると主張し、ハト派は米国には勝てないという。対米経済貿易摩擦に対する中国政府の立場はどんなものだろうか。

①中国は、国家の尊厳を革新的利益は断固として守る。
②中国は、米中貿易関係の健全な発展を断固として推進する。
③中国は、多国間貿易体制を断固として守り、その改革と改善を促す。
④中国は、知的財産権を断固として守る。
⑤中国は、外資企業の中国での合法的権益を断固として守る。
⑥中国は、改革を断固として深化させ、絶えずに開放を拡大していく。
⑦中国は、先進国と発展途上国との互恵共栄や協力を断固として促す。
⑧中国は、人類運命共同体の構築に断固として取り組む。

そして、中国政府の立場としては、妥協点をさぐり、早期解決を目指す、対米依存度を減らし、他の国との関係強化を図る、自主開発能力を高める、という方針を打ち出している。

米中貿易摩擦が続くと、中国では投資と消費に影響がでてくるので、このまま解決を見ないでおくと、2018年の政府の成長目標である6.5%前後が達成できない可能性が濃厚である。

まだまだどうなるか余談を許さない米国貿易戦争だが、有識者同士の話し合いによって、両者が信頼し合う関係になることが、世界経済によってもメリットが大だといっても過言ではない。米中関係から目が離せない!

<辻 秀雄>

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