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【日本仮想通貨事業者協会】ビットバンクCEOによる「UASFおよびBCC分岐対応について」と、だれでも、かんたんに、あなたの価値をトレード「VALU」について。日本仮想通貨事業者協会の「2017年8月度勉強会」に潜入


雨が降りしきる2017年8月30日(水)、17時から東京・赤坂見附のアンダーソン・毛利・友常法律事務所の会議室で、日本仮想通貨事業者協会の8月度の勉強会が開催された。今回の講演内容は、第一部が「UASFおよびBCC分岐対応について」、第二部が「VALUについて」である。会場には、200名を超える関係者が参加した。

UASFおよびBCC分岐対応について

まず、第一部の講演として登壇したのは、ビットバンク株式会社の代表取締役CEOである廣末紀之氏。

ビットバンク株式会社代表取締役CEO 廣末紀之氏

3年前から伏線があった

仮想通貨、とくにBitcoinの分別騒動についての流について、廣末氏は3年ぐらい前から伏線があったという。その伏線となった問題というのは、Bitcoinのスケーラビリティの問題である。ご存じのように、Bitcoinのブロックチェーンは、理論上は10分間に7つのトランザクションしか認証できないということで、しかも、その処理数が落ちているため、その解決策がここ2年から3年、コミュニティのなかで議論をされてきた。

その議論のなかでいろいろなことが噴出したが、結果的にいい形で落ち着いたと、廣末氏は言う。

始まりは2015年頃

では、ここで少し、Bitcoin騒動をめぐる一連の流について、簡単だが、少し解説をしておきたい。

2015年頃からBitcoinの利用者が増えてきた。トランザクションが増大することによって、ネットワークのスケ―リング問題が活発化してきた。そこでまず、2015年8月15日にBitcoinXTという方法論が提案された。ブロックサイズを大きくしようという提案である。それを発端にコミュニティのなかで、スケーリングについてディスカッションをしていこうという動きがでてきた。

同年の9月にカナダのモントリオールで、第一回のスケーリングBitcoinというフォーラムが開催された。その後、12月に香港で第二回のフォーラムが開催された。第二回のフォーラムで、segwitという考え方が提案された。スケーラビリティの当面の解決策としては、segwitは良いのではないか、コミュニティのなかで賛同者が多かった。廣末氏は、segwitが実装されれば、スケーラビリティの問題は当面は収束するのではないかと、考えたという。

激化するビッグブロック派とスモールブロック派

2016年にはいるわけだが、その時点で、BitcoinXTというブロックサイズを大きくしたい派と、segwit とかレイヤーをつくってオフチェーンでトランザクションを裁いていこうという派と、大きくふたつの考え方がでていた。つまり、ビッグブロック派とスモールブロック派のふたつにわかれていたわけである。

そして、2016年11月にsegwitが実装された。これは、ハッシュパワー95%でアクティベイトできる仕様で、コミュニティのなかでは誰も反対する者はいないのではないかとみられていた。ところが、大手のマイナー陣は経済合理性を考えてもビッグブロックでいきたいという意見が大勢を占め、segwitはいっこうに支持を得られない状況が起こった。大手のマイナー陣がそうじてsegwitに反発したのである。

そして、2017年に入って、ビッグブロック派とスモールブロック派の対立が激化した。

Litecoinがsegwitを採用

そのなかで、BIP148UASFが提案された。マイナーの支持がなくてもsegwitを採用しようという考え方である。4月になるとASICBOOST論争が起こった。そこでぐちゃぐちゃと議論が起こっているうちに、今度は、Litecoinがいち早く5月にsegwitを採用した。もともと仮想通貨同士がお互いに競争することによって、進化する(よくなっていく)という考え方があるが、本来、主軸のBitcoinがそういう考えを採用すべきなのだが、Bitcoinが揉めている間にLitecoinがsegwit を採用した。

UASF VS. UAHF

2017年5月に、ハッシュレートの80%以上が合意するような、いろいろな関係者を巻き込んだかたちで、segwit2Xをやりましょうという話が出た。これは、UASFが敵対的な分岐ではなくて、ビッグブロック派もブロックサイズが大きくなってOK、オフチェーン派もsegwitが導入されてOKで、非常に中庸的な話でみんなが合意できるものだったので、Bitcoinも大きな分断がなく進めるのではないかという話になった。

6月になると、中国の最大手のマイナー集団であるBitmainがUASFに対抗する意味で、UAHFを提案してきた。これは8月1日にUASFが実行されたときの対抗策として提案されてきたわけで、またここで敵対的な話が出てきた。この6月ぐらいが議論のピークで、ここからは実際の8月1日のUASFに対して、敵対的な分岐が起こるなかで、どうやってネットワークの安全性を保っていくかという話が、コミュニティや交換所、ユーザーを巻き込んで議論が進んでいった。

敵対的な分岐リスクが生じた

一連の流のなかでいったい何が起こっていたのかということだが、BIP141(これはsegwitだが)がなかなかアクティベイトされず、どのようにアクティベイトに持っていくかを揉めていた。segwitはこれからBitcoinの実装には良いものだが、3年ぐらい揉めていた。

segwitは2016年の末に実装されて、2017年の11月までに95%アクティベイトするという話だった。しかし、なかなかアクティべーションに至らなかった。そのなかで、BIP148UASFである。これは、マイナーの意見を基本的には無視する方法で、segwitをアクティベイトする方法のことである。これで敵対的な分岐リスクがでることになった。

BIP91の出現で分岐を回避

さらに、BIP91が出てきた。これはもともとsegwitがシグナル95%を80%にして、結果的にsegwitをアクティベイトするという考え方である。これにはマイナーの賛同を得られて、7月21日にロックインして、7月23日にアクティベイトし、結果的にBIP148については、敵対的な分岐を防ぐことができた。8月1日のUASFは避けられ、BIP91が通って、7月23日に無事、分岐を避けることができた。

交換事業者の初めての情報交換

では、この間、日本仮想通貨事業者協会の加盟交換事業者は何をやっていたのかといえば、7月7日から、各社のBitcoinチーフオフィサーが集まって、オンラインによるグループをつくり、情報交換をはじめた。8月1日にUASFが起こったときにどんな措置を執るべきかについて情報を集め、議論をしていった。ここには、金融庁をはじめ、協会の事務局も入って、できるだけ統一したコンセンサスと、一番重要なのは、利用者の資産の保全だが、これが絶対に担保できるような方法論を議論しようということではじめた。ところが、途中でBIP91への対応に議論が変更された。

そして、その対応方法としてはもっとも厳格な対応を取ろうということで、取引所については、Bitcoinの入出金の停止という対応を決めた。7月23日に各社、停止対応を取った。結果として混乱は起こらなかったので、翌24日には各社の判断で解除措置を執り、何もなかって良かったねという流になった。

11月にはレガシーチェーンのハードフォーク議論が噴出

8月1日のUASFはなくなったが、今度はBitcoin Cashがでてきて、問題を複雑にした。これは、中国の新興マイニングプールViaBTCの主導で行われたもので、Bitcoinをもっていたら同額のBitcoin Cashを持つことになり、これは会計処理上、どうしたらいいのかわからないということが起こった。

7月23日にBIP91が通り、8月1日にBitcoin Cashのハードフォークが起こり、今は、Bitcoin Cashのブロックチェーンとsegwitブロックチェーンがそれぞれ動いているという状況になっている。8月24日に、BIP148が無事にアクティべーションされて、これから起こるだろうといわれているのが、もともとsegwit2XがNYAであったが、協定では3カ月以内に2メガハードフォークが謳われているので、ほんとにそうなるかは半信半疑なところがあるが、11月にレガシーチェーンのハードフォークが議論としてでてくる可能性が高い。

今回の騒動で生まれた業者間の情報ネットワーク

今回の流を踏まえて良かったことは、顧客事故が起こらなかったことと、事業者間で情報の交換や共有のネットワークができたこと、その機能がまだ継続していることである。そのことによって、より顧客の安全性を保てる仕組みに一歩近づいたのではないか。また、官民一体となって業界の健全さや、顧客の資産保全に動くという貴重な経験ができたことが、大きな成果といえる。さらに、室の高いネットワークの構築に結びつくことができれば、いいのではないかなと思うと、廣末氏は話を締めくくった。

だれでも、かんたんに、あなたの価値をトレード「VALU」について

続いて第二部として登壇したのは、株式会社VALUの取締役である小川晃平氏。まず、VALUとは何かについて、小川氏はこう語る。

株式会社VALU 取締役 小川晃平氏

人の価値を高める事業

「人の価値を発掘し、高めるということをやっていて、今はICOに分類されてしまっている。私自身はICOをやっている意識はあまりなくて、Bitcoinを利用して、人の価値を高めるということをどういうふうに実現していこうか、を目指している」

VALUは、Accum.bitとPARTYの2社によって運営されている。小川氏がVALUをはじめたきっかけは、彼が会社員を辞めてフリーランスになったとたん、社会的価値や信用が一気に落ちてしまったことに疑問を感じたからである。その一例でいえば、これまではクレジットカードで100万円が限度額だったものが、フリーランスになったと単位30万円の限度額になってしまったとか。だから、フリーランスになっても正しく人を評価できるような仕組みができないかと思い、VALUを立ち上げた。

目指すは「評価経済」

そのVALUが目指すもののひとつが、評価経済である。たとえば、フリーランスの漫画家として仕事を一生懸命しているのに、評価となったら、大企業に勤めている人よりも遙かに評価が低いなど、いろいろな問題がある。だから、所属する組織の大小や仕事の内容にかかわらず、その人が備えている資質が正しく評価されるという、「評価経済」を目指すというのである。

メリットが大きいBitcoin

その支援として、Bitcoinを通じて支援するのだが、なぜBitcoinを採用したのかとえいば、「VALUというサービスの海外展開を考えていて、海外の人に使ってもらう準備を進めているが、その際に、なぜ円を採用しなかったのかといえば、やはり、グローバルに展開しようと思ったときに、Bitcoinを使ったほうが圧倒的にメリットが大きいからである。送金の手数料は安いし、そんなことを考えたら、Bitcoinを採用しないわけにはいかない。イーサリアムやモナコインなどの他の仮想通貨もあるが、現状ではBitcoinが一番なので、今回はBitcoinを採用しました」

と言って、小川氏は、ユニークな人がさらに活躍できる世界を目指し、グローバルや地方に限らす、支援をしていきたいという。

「VALUは基本的にはクラウドファンディングだと思っています。ただ、クラウドファンディングは現状、単発的な応援で終わってしまう。そこに、ブロックチェーン技術を使って、継続的な応援態勢ができればと考えています」

ビジネスモデルとしては、発行手数料を徴収している。自分が「My VALU」を発行した場合は、それが売れたときは10%の手数料を徴収している。

今後の予定や可能性

では、実際にVALUを立ち上げるときにどんなものを参考にしたのかといえば、ブロックチェーンを活用したアイドル育成プロジェクトである「ビットガールズ」をかなり参考にした。また、トレーディングカードをブロックチェーン化した「Rarepepeトークン」も参考にした。さらに、海外の事例もかなりチェックをしている。

今後の予定としては、iPhone化やAndroid化をする予定だ。さらに、より気軽な応援を可能にするBitcoin送付機能とか、自己表現を多彩にする動画配信機能とか、API公開、海外展開を考えている。海外展開については、北米と中国がメインになる。早ければ、2018年が開けて早々には海外にでたいという。

今後の可能性として、APIを提供する話をしているが、だれか、VALUを利用して保険などをつくってくれないかと思っている。あとは、これまで資金調達ができなかった法人やプロジェクトの横展開をやりたいと思っている。たとえば、NPO法人。

とここまで、小川氏は説明をして、「VALUを取り巻く問題や課題について」は、かなりオフレコの部分があるので、ここでは説明を割愛せざるを得ない。

質疑応答

約50分のVALUの説明を終えて、質疑応答に移った。

――私がVALUを発行したら、その今人がどんだけという話とは別に、発行されている者に関しては、不特定多数のユーザー間で、買ったり、売ったりということがまさにゲームのトレーディングカードのように行われるということですよね?

小川 不特定多数かどうかはおいといて、一応、そういうことになります。

――でもそれは、発行する本人がいるわけですよね?

小川 発行する本人がいます。

――たとえば、私が5000万〇〇として発行したならば、その5000万円は私の手元にくる?

小川 ただ、徐々に……。

――段階発行になる?

小川 段階売買になる。一発目でバーンとふつうの企業でも売らないと思います。少しずつ……。

――第何次募集というイメージですか?

小川 はい。

――発行数量には制限がないんですね?

小川 今は、発行数量は制限をしています。ツイッターのフォロワー数やfacebookの友だちの数に応じて発行数量は制限をしています。

――それはもらった本人にとっては資本金の扱いなんですか、それとも借入金の扱いなんですか、それともカードを売ったみたいな売上金の扱いなんですか?それによって税金も、集めたお金の返済義務みたいなものもついてまわってくると思うのですが?

小川 実はそのところは、国税局に問い合わせをしているところです。

――現時点ではそうやって、発行した人にお金がいけばいいじゃんというなかで、このシステムを動かして、注目が集まっているところなんですね?

小川 悪くいってしまえばそうです。

といって、あと数人が質問をし、小川氏は講演を締めくくった。

次回の開催は2017年9月20日の予定で、「韓国・台湾・日本の資金移動および仮想通貨に関する規制」がテーマである。

<辻 秀雄>