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【楽天株式会社】「RAKUTEN FINTECH CONFERENCE 2017」に潜入


2017年9月27日(水)午前9時20分から、ホテルニューオータニの鶴の間で、「RAKUTEN FINTECH CONFERENCE 2017」が開催された。今年で第3回目となる。主催したのは、楽天株式会社。会場には1500人前後のビジネスパーソンが詰めかけた。登壇者も国内だけではなく、海外からも招聘し、同時通訳で講演は進んだ。

コンファランスは、代表取締役副会長で執行役員の穂坂雅之氏の挨拶から幕を開けた。

穂坂雅之氏

「楽天では、Fintech事業として、楽天カード、楽天証券、楽天銀行、楽天生保や楽天Pay、楽天Edyなど多彩なサービスを展開していますが、創業時より、インターネットをフルに活用して、Fintechによる価値創造を重視してまいりました。さらに、楽天キャピタルのブランドの元にベンチャー投資を強化しておりまして、そのなかにはFintechベンチャーに投資をするFintechファンドも含まれています。こうした投資を通じて、楽天はFintechヲ円パワーメントしてまいります」

と挨拶を終えた。続いては、Keynote Speechである。Keynote Speechを行うのは、慶應義塾大学名誉教授で東洋大学教授、金融庁長官を務めた竹中平蔵氏。テーマは、「昨今の日本経済・アベノミクスの課題とFintech革命」。

ちょうど、衆議院の解散が決まったこともあって、竹中氏はまず、政治の話題から話をはじめた。

竹中平蔵氏

政治家の思惑

「日本の総理大臣は任期が決まっていなくて、総理大事をやろうと思えばいつまでもやり続けることができる。ただし、自民党の総裁は任期が決まっている。いままでは2期6年だったモノが、今回は3期9年に延びた。そのためには、2018年8月に任期がくる総裁選で勝たなければならない。総裁選で勝つための最大の条件は、その総裁選の少し前ぐらいに総選挙をやって勝っておくこと。選挙で勝った総裁を辞めさせる理由はありませんから、そうすればほぼ、自動的に自民党の総裁選をクリアして、最大2021年まで総理を務めることができるようになる」

そして、この選挙で重要なとは、いかに改革勢力を結集することができるかどうかが、今後の日本の行く末を占う鍵になると、竹中氏は言って、日本経済の話しに移った。

分断社会

「日本の景気は緩やかに回復している」というのが、内閣府月例経済報告での公式な見解である。2014年の消費税の引き上げで少し消費が落ち込んだが、消費も少しずつ戻り、日本経済は景気を回復しつつあることは、多くのシンクタンクも認めている。世界経済も同様である。

そういうなかで、人々は満足をしているかというと、満足はしていない。2016年、突然、乱気流が吹いた。6月24日のBrexit。11月にアメリカで異色の大統領、トランプ大統領が誕生した。これは乱気流といってよい。社会が徹底的に分断されて、分断から取り残された人たちがポピュリズム的な政治を求めて、それに応えるような政治家がでてきて、政治が混乱している。根底にあるのは社会の分断である。この社会の分断を引きずったまま乱気流が続いているのが現状である。

乱気流が吹き荒れるなかで

2016年年初の株価は1万8400円。それがBrexit決定の直後には1万5000円を割った。11月8日にトランプ氏が大統領になることが決まって、巨額の経済拡大政策をぶちあげてから、年末の株価は1万9100円をつけた。年初から株価は20%下がってまた、23%上昇した。これは日本とはまったく関係のないところで起こったことが原因で株価に影響を与えた。そういう乱気流のなかにいることは否定できない。その社会の分断を徹底的に解消するための政策はどこからもでてきていない。乱気流は引き続き、いろいろかたちで起こることを示している。

しかし、私たちはこの乱気流に向かって、いつでも吹いている風、偏西風に乗っていかなければならない。それが第4次産業革命である。

時代はいま第4次産業革命を迎えた

第4次産業革命といっても、多く人は革命という言葉に実感が持てないでいるが、これは間違いなく革命である。いままで営々と続いてきた産業がアットいう間に没落していく可能性がある。それから、若い人たちによってつくられた会社がアットいう間に世界的な規模になる可能性がある。私たちの社会の仕組み、働き方が大胆に変わる状況にあるわけで、そのことの認識をもたなければならない。そのなかででてくるひとつの重要な分野にFintechがある。

第4次産業革命の元になる、「Industry4.0」という言葉を初めて使ったのは、ドイツ政府で、2011年のハノーバーメッセで、この言葉を使って、すべてをデジタルな技術で覆うことによって、いままでとはまったく違う製造業の生産性上昇、製造業の新しい姿をつくることができる、ということがメッセージだった。

その後、この分野はもっと広いということに人々が気づいて、解くに、ダボス会議を主催するワールド・エコノミック・フォーラムが毎年のように、Fintechを大きなテーマにするようになった。

2012年頃に、アメリカとイギリスがビッグデータを整備するための新しい仕組みに取り組みをはじめていたということがある。人工知能の専門家の松尾豊さんによると、2012年頃に人工知能の分野で画期的な進歩があった。ディープラーニングである。ただ、日本で第4次産業革命が明確になってきたのは、2016年の成長戦略からである。政府や社会全体が「Industry4.0」を認識するようになったのは、2011年や2012年にすでにドイツやアメリカ、イギリスがそれに取り組んでいたのと比べると、日本は遅れていたと素直に認めて、だからこそ今後の取り組みをきちんとやっていこうという姿勢が大事になってくる。

これは、松尾豊氏の説だが、日本は人工知能では少し遅れをとったかも知れないが、それをロボットに組み込むロボティクス、さらに、産業機械などに人工知能を応用して、システムをつくっていくことについて、日本は非常に強い潜在力を持っているそうである。

だから、時代認識を社会全体として明確に共有して、官がやるべきこと、民がやるべき事を前向きに進めていくチャンスである。

バズワードに注目

だが、何が起こるかはわからない。最近、翌耳にするのは「バズワード」である。AIもそうだし、ブロックチェーンもそうだし、みんなが使っている強い言葉だが、その輪郭はまだ非常にぼやけていて、これはいろんなことができそうだと、みんなが「バズワード」を使うわけだが、次の5つを考えて、事業や社会生活を営んでいく必要があるのではないか。

それは、①AI(人工知能)②ロボット(ドローンも含む)③IoT(すべてのモノがインターネットで繋がる)④ビッグデータ(これをどのように整理して使うかが重要)、そして、⑤シェアリング・エコノミー(ビッグデータを活用)である。これらの5つの要素を考えていくことが急速に求められる時代になってきたことは確かである。

AIやロボットによって、私が行っているいまの仕事の半分はなくなってしまうといわれている。性格には4年前に米オックスフォード大学のマイケル・オズボーン教授が、アメリカについてリサーチを行い、現在の職業の47%はなくなるという警鐘を鳴らしている。それと同じような調査をいくつかのシンクタンクやコンサルティングファームで行っている。どの調査をみても完全になくなるかはともかくとして、かなりの職業分野で人がいらなくなってくる状況がでてくるという。たとえば、AIとロボットを組み合わせて、建設業の仕事のやり方が大きく変わってきている。

ビッグデータを上手く使ってシェアリング・エコノミーを例に挙げたが、Airbnb(ルームシェア)、Uber(ライドシェア)。Airbnbがでてきたのは2008年、Uberができたのが2009年、世界がリーマンショックで大きな打撃を受けている一方で、こうしたビジネスが非常に速やかに、したたかに立ち上がってきて、いまはUberの企業価値は7兆円といわれている。Airbnbの企業価値は3兆円といわれている。

既存の社会インフラの消滅

そういうなかで、Fintechも含めてだが、いま起こっていることを一言で言うと、「いままで必要とされた社会インフラが、もはや必要となくなりつつある、そういう状況下で新しいビジネスチャンスをどう見いだしていくか」ということである。

たとえば、タクシー業界をみると、現状では国のお墨付きでタクシー会社が営業を行っているなかで、私たちは安心してタクシーを利用することができるが、これがビッグデータで乗務員の運行状況などが把握できれば、乗務員個人に乗車依頼をすればすむ話になり、別に国がお墨付きを与えているタクシー会社というインフラは必要ではなくなる。

また、同じインフラでいうと、いままでは安心してと泊まれる制度として、ホテルや旅館があった。これも国がお墨付きを与えて、保健所も入って、衛生上の検査もしているから安心して宿泊することができる。しかし、これもビッグデータで、この部屋はちゃんと掃除がしてあるのか、正しく使われているのかがわかるようになれば、旅館業法によるお墨付きは要らなくなる。量感やホテルは要らなくなるというのが、現実問題として世界中で起こっている。

金融機関を変えるブロックチェーンと仮想通貨

日本では一般の生活のなかでは見えないような変化、インフラが要らなくなるかも知れないという変化が、技術のなかで起こってきている。それを金融に当てはめたのがFintechである。究極のFintechはまさに、私たちがお金を預けて、安心してそこで決済をしようと思ったら、銀行という制度のインフラが必要だった。しかし、これもビッグデータを活用すれば、銀行制度というインフラは必ずしも必要ないかも知れない。新しいブロックチェーンのような技術を絡めると、銀行を通して決済しなくても、仮想通貨で決済が可能になるかも知れない。これが現実にいま起こってきている。

銀行は特別な存在である。不特定多数の人からお金を預かって、安心して決済ができるようにしなければならない。だから、銀行には、自己資本比率を求めて、安定性を求めるし、そのかわり銀行業の免許があるところだけに、その業務を認める。非常に完成された制度を日本の銀行は持っている。

ビッグデータで、いろんな取引をしているデータを活用すれば、ある程度の信用調査もできるし、お互いの送金も銀行以外で行うことができるし、さらにいえば、法定通貨でなくても、送金はできるという状況がでてきたのが、仮想通貨である。

仮想通貨の代表格はビットコインで、2009年から発行され、現在では、投機の対象として取り上げられているが、それはそれで不健全な面がある。通貨にはそもそも3つの機能がある。①価値を計る単位、②交換の手段、③価値を蓄える手段である。

ブロックチェーンを活用して、この新しい仕組みの通貨を使って決済をすることは、非常に身近な成果として私たちの前にでてくるのではないだろうか。これは、いま行っている金融の自己否定の部分も持っているということである。金融機関もこの技術を取り込んで新しいことをやらないと生き残れないということで、ブロックチェーンなどの技術を持った会社と提携をするといった動きがでてきている。

ビッグデータの司令塔組織

これからFintechに関する金融行政をどのようにやっていくのかということは、金融庁も非常に難しい議論に立たされている。2016年、「第4次産業革命」が成長戦略のなかにチャプターを設けられて正式に論じられた。閣議決定された正式な文書のなかで初めて取り上げられた。アメリカに比べると遅れていると述べたが、

しかし、成長戦略のなかで、Fintechについて書かれているのは、1ページと3分の1。これから審議会等で議論する、とだけ書かれている。日本ではそういう意味では、第4次産業革命については日本全体で遅れたが、そのなかでFintechに対する対応はとくに遅れていた、という認識は持つ必要がある。

2017年の成長戦略で、提言した新しい制度がある。まず、ビッグデータである。データには価値があり、これを使えばいろいろなことができることがわかっている。しかし、このビッグデータはどこにあるのか、どこに貯まっているのか、実はわからない。分散しているし、価値があるからみんなが取り込むようになってきているが、上手くいっていない。社会全体でビッグデータを有効に活用して、そこにAIを絡めて、新しい展開をもっともっとできるのではないか。

一方で、エストニアという国がある。この国は、国家が主導してビッグデータの整備を行っている。いま、多くのデータ専門家がエストニアへ見学にいく。エストニアでどうしてそういうことができたのか。人口120万の国である。

また、イギリスでは官民のビッグデータを整備する司令塔組織をつくった。日本では、2016年12月にビッグデータを整理するための基本法が国会を通過した。議員立法だが、極めて重要な法律になる。まさに、ビッグデータを整理するための司令塔をつくる。そのなかで、司令塔の制度設計をする人は、政府の人であっては絶対にならない。各省庁の持ち寄りのようなかたちになってはならない。民間の専門家に設計を担ってもらわねばならない。

そこでまずでてくるのは、自動走行の部分で、国道や県道、市道のデータを整理して活用して、自動運転、自動走行に生かす。その次にでてくるのが、医療、健康の部分だろうと思う。

「Regulatory Sandbox」の誕生

ビッグデータとAIを活用して新しいサービスや事業を展開するためには、どうしても実験の場が必要である。自動運転や自動走行の需要は非常に高いものがあるが、それがなかなか進まないのは、道路交通法がそこに立ちはだかっているからである。こうした新しい技術を進めるためには、公道での実験が必要だが、道路交通法は車が道を走るときは、必ず人間が運転しなければならないと規定している。

そこで、新しい技術の実験の場の仕組みができることが、今年6月の閣議決定の成長戦略で決まった。これはFintechの発展と非常に深い関係をもってくる。「Regulatory Sandbox」である。「規制の砂場」という概念である。これも先にあの保守的なイギリスが、Fintechの発展のためにSandboxをつくった。その数カ月後にシンガポールが同じようにSandboxをつくった。そのシンガポールで、日本のメガバンクと代表的な機械メーカーが共同でブロックチェーンの実験をしている。

ぜひ、このSandboxで何ができるかを出してもらい、Sandboxの制度をつくらなければならない。東京都の小池百合子知事は、大田区の一部を使って、自動走行のSandboxをつくることをぶちあげている。

そして、いま、Fintechにおいて「recurrent education」が求められている。リカレントとは反復して勉強するという意味だが、社会人に学び直してもらい、新しい時代に対応することが重要だということである。

とりわけFintechに関する分野では、サイバーセキュリティの人材確保が極めて重要になってきている。さらに、今後、Fintech分野で求められる技術は、個人認証だと、竹中氏は強調する。

竹中平蔵氏のKeynote Speechが終わり、次に10時30分から、パネルディスカッションに入った。

「The Future of Payments」

最初のディスカッションのテーマは「The Future of Payments」である。出席者は、リン・タン氏(Tencentバイス・ジェネラルマネージャー)、エリック・ウッドワード氏(Early Warning Services LLCリスクソリューション担当グループ・プレジデント)、鷹取真一氏(Kyash代表取締役)、そして、モデレーターの高野憲氏(楽天カード執行役員兼海外事業開発部長)である。

写真左から、エリック・ウッドワード氏、高野憲氏、リン・タン氏、鷹取真一氏

「ブロックチェーンの進化とデジタル通貨」

そして、次に11時30分から始まったディスカッションのテーマは、「ブロックチェーンの進化とデジタル通貨」。出席者は、野口悠紀雄氏(早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センター顧問/一橋大学名誉教授)、ジョージ・キクヴァッズ氏(BitFury Group取締役副会長)、宮口礼子氏(Krakenマネージング・ディレクター・ジャパン)、そして、モデレーターは、岡本健氏(楽天テクノロジープラットフォーム統括部ブロックチェーン事業開発室長)。

写真左から、野口悠紀雄氏、宮口礼子氏、ジョージ・キクヴァッズ氏、岡本健氏

「イノベーションが切り開く未来」

お昼休憩をはさんで、13時30分から始まったのは、メインセッション。テーマは、「イノベーションが切り開く未来」である。出席者は、エド・マクローリン氏(マスターカード オペレーション&テクノロジープレジデント)、ローハン・マンデバン氏(PayPal SVP アジア太平洋地域CEO)、三木谷浩史(楽天代表取締役会長兼社長)、そして、モデレーターは、関口和一氏(日本経済新聞社編集委員)。

写真左から、エド・マクローリン氏、三木谷浩史氏、ローハン・マンデバン氏、関口和一氏

「AIがもたらすFinTechの革新」

14時40分から始まったのは、サブメインセッション。テーマは「AIがもたらすFinTechの革新」である。出席者は、トビー・カッペロ氏(IBMワトソン&クラウドプラットフォーム バイスプレジデント、エキスパート&デリバリーサービス)、入山千恵子氏(ブラロック・ジャパン運用分門株式戦略部長)、柳川範之氏(東京大学大学院経済学研究科教授)、そして、モデレーターは、茶谷公之氏(楽天執行役員AI推進部ジェネラルマネージャー)。

写真左から、トビー・カッペロ氏、入山千恵子氏、柳川範之氏

「インシュアテックの鼓動~テクノロジーが保険業界にどのような変革をもたらすか~」

15時40分から始まったのが、パネルセッション3で、テーマは「インシュアテックの鼓動~テクノロジーが保険業界にどのような変革をもたらすか~」である。出席者は、北堀貴子氏(第一生命ホールディングス国内営業企画ユニット長/第一生命保険営業企画部長)、バル・ジスアン・ヤップ氏(PolicyPal CEO兼共同創業者)、ヨアヒム・フォン・ボニン氏(Simplesurance GmbH CFO兼共同創業者、マネージング・ディレクター)、森正弥氏(楽天執行役員兼楽天技術研究所代表/楽天声明技術ラボ所長/企業情報化協会常任幹事)、そして、モデレーターは、玉田恭子氏(楽天生命保険インシュアテック推進部部長)。

写真左から、北堀貴子氏、森正弥氏、バル・ジスアン・ヤップ氏、ヨアヒム・フォン・ボニン氏、玉田恭子氏

「Innovation in FinTech」

そして、16時40分から最後のセッションが始まった。パネルセッション4だ。テーマは、「Innovation in FinTech」。このセッションは定刻の17時30分に終わり、「RAKUTEN FINTECH CONFERENCE 2017」は無事、終了した。

<辻 秀雄>

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