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【App Annie DECODE Tokyo】モバイル・ファイナンスの時代がやってきた! FinTechベンチャー、金融機関等、FinTechの雄が集結、業界最新トレンドを発表「App Annie DECODE Tokyo」に潜入


2017年5月22日(月)18時から、東京・大手町のフィナンシャルシティ・グランキューブ3階のGlobal Business Hub Tokyoで、App Annie Japan主催による「App Annie DECODE Tokyo」が開催された。会場には、金融関係者を中心に180名前後が参加した。DECODEとは、符号化された情報を復号、解読するという意味である。

アップアニーは、アプリに関する市場データと分析ツールを提供している、アメリカ合衆国の私企業。アプリパブリッシャー上位100社の9割以上が利用し、アプリの調査会社としては世界でもっとも広く利用される企業となっている。本拠地はサンフランシスコにある。

App Annie DECODE Tokyo

写真左:受付/写真右:司会進行を務めるApp Annieカスタマー・サクセス・マネージャーの朴澤理子さん

まず、セミナーの開始を前に、Global Business Hub Tokyoを開発・提供している三菱地所の担当者から、施設の説明と三菱地所の今後の取り組みについての説明があった。同社としては、スタートアップ企業の支援をしながら、丸の内界隈の開発を進め、エキサイティングな都市空間をつくりあげるという目標を持っているようだ。

開会に先立ち、App Annieの最高売上責任者(CRO)であるTed Krantz(テッド・クランツ)氏と、Regional Directorの滝澤琢人氏から、挨拶があった。クランツ氏は、「App Annieはアプリビジネスを成功へと導く強力な市場データと、深い洞察を提供する世界でナンバーワンの情報プラットフォームを提供している会社なので、きっと皆さんの要望に応えることができるだろう」と述べ、滝澤氏は、「フィンテックに特化したセミナーは初めてなので、楽しみにしている」と述べた。

App Annie DECODE Tokyo

写真左:Ted Krantz(テッド・クランツ)氏/写真右:滝澤琢人氏

第一部:世界のアプリ市場

第一部は、App Annieが提供する世界のアプリ市場のデータを元に、全世界でどれだけアプリが使用されているのか、とくに、アジア地域におけるFinTechや銀行アプリの利用状況をトレンドの解説するというものだ。登壇者は、App Annie Inc.のChief Marketing Officer(CMO)のアル・キャンパ(Al Campa)氏。

App Annie DECODE Tokyo

Al Campa(アル・キャンパ)氏

App Annieからのデータを元に、キャンパ氏はこう始める。

「世界のアプリ市場のトレンドですが、モバイルアプリの1人当たりの使用時間の世界的な平均は、1日あたり2時間。しかし、日本人は3時間と平均よりも多く使用している。ヘビーユーザーになると、4時間から5時間モバイルアプリを使用している人もいる。では、1カ月にどのぐらいの数のアプリをダウンロードしているかと言えば、平均すると30アプリ。多い人では、40~50アプリをダウンロードしているケースもある。1年間では、2016年は1490億ダウンロードで、2020年になると、3040億ダウンロード数になると見込んでいます」

実際、モバイルデバイスはどのくらい出回っているのかと言えば、現状では、30億台で、2020年には60億台のモバイルデバイスが普及するだろうと、述べた。アプリを販売しているストアの収益は、2016年は620億ドルだったが、2020年には1200億ドルの収益をあげる見込みだという。2016年と比べると、約45%の伸びとなるだろう。世界の市場のなかで、成長が著しいのが、アジア・太平洋地域で、とくに、金融機関でのアプリの需要が急激に伸びていると、キャンパ氏は指摘する。

「金融機関でのアプリは、決済や送金のために利用されているが、2016年に比べると、2017年は51%の成長率を示しており、合計セッション数も、アジア・太平洋地域では1000億セッションを超えており(2016年)、欧米の2倍となっています。2014年から比べると、実に、112%の伸びを示しています」

金融機関アプリのランキングでは、まず、中国でのトップは、CCB Mobile Application、続いて、China Merchants Bank Pocket Life、そして、China Merchants Bank、ICBC Mobile Banking、Bank of Mobile Chinaとなっている。韓国でトップにきているのは、KBstar bankingで、次いで、NH Bank、Shinhan S Bank、Woori Banking Personal Banking、Shinhan FANとなっている。日本でのトップは、Rakuten Cardで、第2位が、Bank of Tokyo-Mitsubishi UFJ、そして、Mitsui Sumitomo Bank、Rakuten Bank、Jibun Bankと続く。

中国の主要モバイル決済プラットフォームとトップ5バンキングアプリの普及率を見ると、ユーザー普及率は、WechatとAlipayが人気で、それぞれ67%に及んでいる。

フィンテックアプリでの人気はどうか。中国でトップにくるのはAlipayで、次に、Straight Flush、MyMoney by Kingdeeが続く。日本では、Money Forwardがトップで、Zaim、Quick Money Recorderが続く。

金融関係で使われるアプリでもっとも大事なことは、セキュリティ。Rakuten BankではタッチIDで認証しているし、China Merchants Bankは顔認証、ANZ goMoney Australiaは声認証など、いろいろな工夫がなされている。信頼と優れたユーザー体験ができる認証方法の検討が必要になってくる。

第二部:FinTechサービスの最新事例

App Annie DECODE Tokyo

川田修平氏

続いて登壇したのは、株式会社アイリッジの新規ソリューション&テクノロジー開発シニアマネージャーの川田修平氏。O2Oマーケティング領域で事業を展開しているアイリッジが、飛騨信用組合と共同でスタートした電子地域通貨モバイルアプリの実証実験の様子など、FinTechサービスの最新事情を紹介するというもの。

O2Oとは、ネット上(オンライン)から、ネット外の実地(オフライン)での行動へと促す施策のことや、オンラインでの情報接触行動をもってオフラインでの購買行動に影響を与えるような施策のことを指す

http://web-tan.forum.impressrd.jp/g/o2oより抜粋)。

川田氏は言う。

「最近取り組んでいるのが、電子地域通貨モバイルプラットフォームと、O2Oの技術とFinTechを融合したものに取り組んでいます」

ITと金融分野は昔から関係が深いと言われてきたが、最近はビッグデータとかAI、ブロックチェーン、IoT、スマートフォンの急速な普及が、何か新しいイノベーションが起きつつある背景だと思っているという。

そして、川田さんはこう続ける。

「主に6つの分野で何かしら変わっていくのではないかと言われているのが、ひとつ目が決済とか送金、二つ目が投資・資産運用、さらに、保険であったり、資金調達、与信、貸し付けといった資本市場のエリアで、いろいろな変化あるのかなと感じています。スマートフォンを使ったFinTechの領域では、ひとつは、PFM(Personal Financilal Management)や家計簿で、二つ目が、投資とか資産運用、最後が決済と送金というところでしょうか」と言って、金融の分野でいろいろなサービスが出ていることを、具体的な会社名とサービス名をあげて解説。

さらに、アプリバンキングの推進や、決済領域の分野への取り組みも行っているという。そのなかで面白い取り組みが、「BusPay」という料金決済システム。2016年の夏にサービスを導入したそうだが、これには2つのケースがあって、ひとつは、徳島と大阪を結んでいる海部観光と、埼玉県のイオンモールと春日部駅、羽生駅などを結んでいる路線を一部、運営している平成エンタープライズで、事前にバスに乗車する前に乗車券をアプリのなかで購入して、バスに乗るときに運転手にスマホの画面を見せるだけの、「見せるだけ決済」というシステム的に簡単に決済ができる領域があるのではないかというところで、バス業界で行ったサービスが「BusPay」だという。海部観光では、乗客全体の5%強がBusPayを使っており、毎月10%づつ、使う人が増えているという。

そのながれで、電子地域通貨のプラットフォームにたどりつくわけだが、現在は、岐阜県の飛騨高山にある、飛騨信用組合と共同で、電子地域通貨プラットフォームの共同開発を行っている。その狙いは、飛騨高山地方は少子高齢化で人口が減少する一方で、経済も停滞しているので、何とか、金融と決済の仕組みでこの地域を活性化できないものかというのが、最初のスタートといってよい。

このプラットフォームの内容は、チャージができて、支払もできる。個人間の送金や日本円の払い戻しもできるというのが、主な機能となっている。スマホにアプリをインストールし、お金(この場合は、地域通貨である「さるぼぼ」)をチャージし、品物のQRコードを読みとって、代金を確定するだけで、食事をしたり、品物を購入したりできる。

そして、実証実験がスタートしたのは、5月15日の月曜日。飛騨信用組合の職員、230名に700万円分の「さるぼぼ」コインを渡して、3カ月間で使ってもらうという試みだ。この実証実験は地元のテレビ局でも放送された。実証実験は8月まで続き、秋口での本格運用を目指すというもの。この電子地域通貨モバイルプラットフォームを通じて、飛騨高屋町行きを活性化したいと、川田さんは強調する。

第三部:パネルディスカッション

第三部はパネルディスカッション。FinTeck・金融サービス提供者の視点から、モバイル時代における各社のサービス提供とマーケティングの在り方、モバイルアプリの活用のポイントと課題、金融機関とFinTechベンチャーとの連携の在り方など、幅広い議論を展開していくのが狙いだ。登壇者は、株式会社マネーフォワードPFM本部長の秋山芳生氏と、株式会社ネストエッグ事業開発部マネージャーの川口雅史氏。モデレーターはApp Annie JapanのHead of New Businessである向井俊介氏。

App Annie DECODE Tokyo

写真左:秋山芳生氏/写真中:川口雅史氏/写真右:向井俊介氏

自動家計簿アプリ「マネーフォワード」とは

まずは、2社の自己紹介からで、最初は、秋山芳生がマイクを握った。

「PFMとは、第二部でも出ましたが、FinTechの一部で、資産管理、いわゆる家計簿です」

お金にまつわる問題はいろいろある。少子高齢化や老後の不安など表面に出ている問題だけでなく、見えない問題も含めて、お金に関する潜在的な問題を皆さんと一緒に考え、解決できるサービスができたらいいなと、秋山氏は言う。そして、秋山さんが担当する家計簿アプリはシェアがナンバーワンで、今、累計で500万人が利用しているが、それはまだまだ途上であって、より多くの方に使ってもらえるようなインフラになれるように頑張っているという。

そして、「お金を見える化」することによって一元管理をするのがマネーフォワードの特徴で、さまざまな金融情報を提供することによって、皆さんの金融リテラシーに貢献したいとも言う。さらに、マネーフォワードを使うことによって、実際に収支が改善した額を使用者から聞いたところ、平均月1万9090円だそうである。また、高い利用頻度が特徴で、毎日利用する方は、全体の45%。3日に一度ぐらいの割合でログインするソフトなので、月のうち10日ぐらいは見てもらっているサービスである。特徴は、自動ですべてお金の管理ができて、自動で情報が更新されていく。

マネーフォワードはネットの会社だが、リアルなこともやっていて、「お金のエキスポ」というイベントを年に1回開催している。2017年は10月22日(日)に開催を予定している。また、金融機関向けにマネーフォワードを、半OEMというかたちで提供しているという。

自動貯金サービス「Finbee」とは

続いて、ネストエッグの川口氏が話し出す。自己紹介を終えたあと、こう話す。

「日本初の更新系APIを実装した自動貯金サービス『Finbee』を2016年12月にリリースしました。お金の問題をITを使ってどう解決し、その先にある人々の生活をどういうふうに豊にしていくのか、を会社の理念やビジョンとして掲げています。さらに、貯金に関する課題や問題点を以下に解決していくのかということが、『Finbee』を開発したきっかけのひとつです」

「Finbee」のコンセプトは、「生活の貯金化」だという。金融サービスをもっと身近なものにしたいと考えている。2016年12月にリリースした「Finbee」は、住信SBIネット銀行と実際に接続をしているが、そこの代表口座と、貯める専用の目的別口座があり、そのなかで振り替えをすることで、実際にお金を保全していくというスキームをとっている。それをAPIで接続していて、金融機関ではない第三者のFinTech企業が銀行の情報を動かすということでは、日本ではじめての個人向け更新系APIである。

ネストエッグのサービスが金融機関にとってどうしてメリットがあるかと言えば、まずひとつは、金融機関の収益に貢献できるからである。現在、インターネットバンキングの利用率が20%を割っているところがあったり、電子決済比率がまだまだ低いという状況のなかで、金融機関はいろいろなサービスを提供しているが、そのサービスを全員が使えているわけではない。それはなぜかと言えば、顧客との接点がなかったり、コミュニケーションの取り方が難しくなっていることが課題としてあげられる。

これまで金融機関ができなかった方法を、少し視点を変えて、日々、貯金をするきっかけづくりから始めていって、端数貯金は楽しそうだからやってみようとか、「金融サービスどうですか?」という提案ではなく、欲しいもの、やりたいことを達成するために貯金を始めるというライトなところからFinbeeを使っていただき、その流れで金融サービスの自然な流れに繋げていく、導線づくりを目指しているという。

ネストエッグとしては、貯金をしてもらうのが目的ではなく、日々の生活のなかで貯金をするきっかけづくりから始まって、達成したら貯金をそのまま使うという導線づくりが必要となってくるので、課題としては導線づくりをあげている。そして、さまざまな金融サービスの連携をすることで、貯金をして、さらに、そこからお金を流通させていく、という、日本経済に貢献できるような、サービスの位置づけで考えている、というのだ。

スマートフォンの位置づけとは

二人の自己紹介を兼ねた事業説明が終わったあと、モデレーターの向井さんは、ふたりにこんな質問を投げかけた。

「いろいろなテクノロジーの要素があるなかで、スマートフォンの出現は、お二人の金融サービスからみると、どんな位置づけでしょうか。スマホがあるから今、凄くビジネスができているのか、それとも今後、技術の発展でデバイスが何か変わったとしても、より高度なことができるのではないかとか、そのあたりはいかがでしょうか?」

秋山さんが答える。

「ありきたりな意見だとは思うが、個人がインターネットに繋がるというのがスマホの特徴だと思います。ネットを利用してアプリが使える訳ですが、もっと言うと、人間が拡張しているように思う。たとえば、知らない言葉をすぐに調べて、知らなかった自分との差を簡単に埋めることができる、そういうパーソナルなところでインターネットに繋がって、情報に触れ、自分のできなかったことができるようになる、ことが人間の拡張に繋がっていると思う」

と述べた後、スマホを新幹線の中に置き忘れ、2~3日、スマホに触れなかっただけで、いかに何もできないかを痛感させられたと、独白。モデレータはそれを聞いて、「いかにスマホがあることで、自分が退化していることがわかったんじゃないですか?」と問うと、秋山さんは、一理あると回答。続いて、川口さんが発言する。

「時間と場所を問わないことが最大限であり、よく言われることです。金融サービスの面で言えば、いままでリアルでしかできなかった送金や決済がデジタルでできる、それも、より便利になっている。その先で、トランザクションはどんどん増えていく、データ化されていく、見える化されていく、のがより加速していると考えています」

マネタイズやビジネスモデルは?

そこで、向井さんは、二人にこんな質問を投げかける。

「ところで、お二人のビジネスですが、どうやって儲けておられるのか、つまり、マネタイズはどうなっているのか、会場の皆さんも聞きたいことだと思いますので、お答えいただけますか?」

と、今度は川口さんから指名する。

「Finbeeとしては、金融機関との提携が大きいので、金融機関との収益をシェアするというのが、一番のビジネスモデルになっています」

秋山さんは、「ビジネスモデルは3つで、ひとつは、ユーザーにプレミアム会員になってもらって、月額500円の課金をする。2つ目は、500万人のユーザーがいるので、その方たちを対象にした広告事業、もうひとつは、金融機関向けにマネーフォワードを提供しているので、その機能提供となります」と答える。そして、これからマネタイズとしてもっとも可能性があるのは、金融機関との連携だと断言する。

開発したアプリを知ってもらうためには?

続いて向井さんは、マーケティングについての質問を二人に投げかける。

「新しくアプリをつくっても、知られないと意味がない。そこで、まず、知ってもらうために、はじめに何をされましたか?」

秋山さんが答える。

「まず、ユーザーさんがサービスを使い続けてくれるかどうかに限るので、ユーザビリティを早期にどれだけあげることができるか、ですね。そこで、自信ができたら、次に多くの人に知ってもらうことだと思います」

その答えを聞いて向井さんが会場の参加者にこんな話を披露する。

「スマホにインストールされているアプリの80%は使われていなくて、端末内には20%のアプリだけしか残っていないそうです。ですから、端末内で非常にシビアな戦いが繰り広げられているということで、実は、ユーザビリティとか、不快感を与えないことは非常に重要なことなんだと思ったわけです」

続いて、川口さんが話を継ぐ。

「ユーザーが使いやすいサービスを提供するのは第一義ですが、スピードも凄く重要です。完璧なものを用意して出すのではなくて、以下にスピーディに市場に出して、お客さんの反応を見て、PDCを回せる組織であったり、体制も凄く重要だと思っています」

この後、パネルディスカッションは、アプリづくりの組織体制や、アプリづくりの考え方、集客手法などに話が及んで、パネルディスカッションは終了した。そして、この後、懇親会に移った。

App Annie DECODE Tokyo

<辻 秀雄>