FX・仮想通貨・先物の最新業界情報メディア

Menu

【日本仮想通貨事業者協会】ジョナサン・アンダーウッド氏の「UASF」対策提言と仮想通貨取引所5社によるパネルディスカッション。日本仮想通貨事業者協会の「2017年6月度勉強会」に潜入


日本仮想通貨事業者協会6月度勉強会6月23日、日本仮想通貨事業者協会は6月度勉強会を開催した。当日はまず「企業を狙うサイバー犯罪の現状と対策」などが説明された(非公開)。その後、ブロックチェーン大学校のジョナサン・アンダーウッド氏が、8月1日に予定されている「UASF」についてその概要と対策を提言し、最後にパネルディスカッションで、仮想通貨取引所(一部申請中)の5社トップが、「取引所の抱えるリスク」について意見を述べ合った。

ジョナサン・アンダーウッド氏によるUASF対策

アンダーウッド氏は、まずたくさんのハッシュをかけられたブロックチェーンが正しいとみなされるというブロックチェーンの基本と、分岐したブロックチェーンが1本に戻るビットコインのリオルガニゼーション(以下reorg)の仕組みを改めて説明。その上で今年8月1日午前9時(GMT0時)にほぼ確実に実施されると見られているUASF(User-Activated Soft Fork)の場合は、非対称的なreorgがありうるため、アップグレード前のチェーンを正常とみなさず、状況次第では厄介な問題を引き起こす可能性があると指摘した。

ロックチェーン大学校のジョナサン・アンダーウッド氏

ブロックチェーン大学校のジョナサン・アンダーウッド氏

そして、8月1日は念のために、取引所が午前9時からビットコインの入出金を停止する方が良いと提案した。その後については、仮にUASFチェーンに圧倒的なハッシュパワーがあれば、非UASFであっても自動的にUASFを「正当」とみなすので、問題は早く収束する可能性がある。ただ、UASFが劣勢の場合、UASFチェーンは非UASFチェーンにreorgすることがなく、ひたすら我が道を進み(非対称なreorg)、序盤においては非UASFのチェーンの方が先行する可能性があるとも指摘した。

仮想通貨取引所5社によるパネルディスカッション

続くパネルディスカッションに参加したのは、「ビットコイン取引所:ARG」を運営する株式会社シーエムディーラボの尹煕元(ユン・ヒウォン)氏、「coincheck」を運営するコインチェック株式会社の大塚雄介氏、「bitbank」を運営するビットバンク株式会社の廣末紀之氏、マネックス証券株式会社の三根公博氏、SBIバーチャル・カレンシーズ株式会社の斎藤亮氏と、司会進行は協会会長の幸政司氏。以下、一問一答。

ユン・ヒウォン氏、大塚雄介氏、廣末紀之氏、三根公博氏、齋藤亮氏

左上からユン・ヒウォン氏、大塚雄介氏、廣末紀之氏、三根公博氏、齋藤亮氏

今後、取引所が抱えるリスクは何か?

ユン氏:金融市場中心に統計解析に携わってきた。仮想通貨の情報共有に懸念がある。他のすべての取引所がどれだけビットコインを持っているのか分からないのがリスクだ。各取引所がそれを発信して、連携・共有する必要がある。

大塚氏:事業を拡大すればするほどリスクが高まってくる。自社の今のリスクは何かを自身が考え、経営者自らがリスクを一つ一つ潰していくことが大切だと考えている。今は、リスクは拡大する一方だ。

廣末氏:種類が増えていることによるリスクが増している。対応も各社ばらばらなので、顧客保護の面で、情報共有は必要だ。

三根氏:レバレッジはFXで4%だが、仮想通貨は決まっていない。ビットコインはわずか1時間で10%ぐらい動くので、金額次第で、顧客も会社も飛んでしまう可能性もある。現在、金融取引業者は自己資本規制比率が120%を割ったら登録取消しとなっている。仮想通貨についてもレバレッジ取引を提供する場合には財務リスクの観点から、業界として、財務の健全性を示すためのガイドラインを決める時が来ているのではないか。

斎藤:SBIグループの他の金融業と比べて、仮想通貨には特異なリスクがあると考えている。予見しにくいリスクだ。

歴史を繰り返さないために議論していきたいと考えている。例えばハッキングをどう防ぐかなど、何か方策は?

ユン:クレジットリスク、ボラティリティ・リスク(1分1秒で価格が10%も動くこともありうる)、オペレーショナル・リスクなど、全く新しいリスクがここにはある。だから、チャンスもある。

大塚:金融出身者は技術を、技術出身者は金融の事を互いに理解し合いながら行かなければならない。また、お客様にも勉強していただきたい。そうしてお互いの信用を傷ければ良いと考えている。

廣末:ハッキング対策としては、コールドウォレットに大半を入れている。

三根:仮想通貨は、不正送金に利用されないかが心配だと思う。国内送金は、金融庁に登録している業者だけに認めるなどの対策も考えられるが、そうなると使い勝手が悪くなる。

斎藤:今後、自主規制を考える中で、分別管理について考えてはどうかと思う。

廣末:今、仮想通貨を詐欺的に悪用している人々が結構いる。中には確信犯もいるので、こうした人々をどう排除するかを考えていくことも必要だ。このままでは、被害が増えて、事業者のみならず業界の評判にもかかわってくる。

三根:ICO詐欺が出てきている。これに規制が入ると使い勝手が悪くなる。協会として、せめてこれは怪しいといった警告を発していく必要もある。

幸:イニシャル・コイン・オファリング(ICO)について危ないと言うと、営業妨害になるという人もいる。悩ましい所だ。

残念ながらこの日は、時間が30分程度と短時間の議論だったが、参加者からは「今後も、現場に起こりがちな問題、経営リスクなどをさらにじっくりと語り合うパネルディスカッションを重ねてもらいたい」との声も聞かれた。

日本仮想通貨事業者協会6月度勉強会

<益永 研>