要約
・米景気鈍化は一時的で、むしろ回復が加速している可能性があるとの見方も浮上。
・米6月利上げ織り込む米金利・米ドル高の始まりなら、115-118円が目標に?!米雇用統計を受けて為替はどう動く?
注目の米4月雇用統計が発表されると、米6月利上げ見通しは一段と拡大したようです。「オーバーナイト・インデックス・スワップ(OIS)取引に基づくと、6月の連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げが実施される確率は約75%となっている。雇用統計発表前は70%だった」(5日付けブルームバーグ)。
では、6月米利上げが行われるなら、それに向けて米金利と米ドルはどう動くかについて今回は考えてみたいと思います。
過去半年間で、米国は2回利上げを行いました。昨年12月と今年3月でしたが、利上げが行われるまでに、金融政策を反映する2年債利回りは大幅に上昇し、政策金利であるFFレートが引き上げられる水準より0.4-0.5%上回る水準まで上昇しました≪資料1参照≫。
資料1 =米2年債利回りの推移 (2016年-)
出所:Bloombergより作成
6月FOMCではFFレートの上限は1.25%に引き上げられる見通しとなっています。過去2回の利上げ局面と同様に、2年債利回りがそれを0.4-0.5%上回る水準まで上昇するなら、6月利上げまでに2年債利回りは5月5日の終値1.31%から1.6-1.7%へ大幅に上昇しているといった見通しになります。
次に長期金利について考えてみましょう。米10年債利回りは、昨年12月、今年3月といった過去2回の米利上げ前には、ともに2.6%前後といったこの間の最高値圏まで上昇しました≪資料2参照≫。
資料2=米10年債利回りの推移(2016年-)
出所:Bloombergより作成
すでに見てきたように、米利上げ織り込みで、短中期金利の一段の上昇の可能性は高そうですから、その中で、長短金利差の観点から、長期金利も一段と上昇する可能性はやはり高いのではないでしょうか。
昨年後半からはそんな長期金利、日米長期金利差と米ドル/円は相関性の強い状況が続いてきました≪資料3参照≫。上述のように、昨年12月、今年3月に米利上げが行われる前、米長期金利がこの間の最高値圏まで上昇すると、米ドル/円も115-118円へ一段高となりました。
資料3=米ドル/円と日米10年債利回り差 (2016年7月-)
出所:Bloombergより作成
以上のように見ると、6月米利上げ見通しがこの先も広がるなら、それを受けて米国の短中長期の金利は一段の上昇が見込まれ、その中で米ドル/円も115-118円へ一段高に向かう可能性が高いのではないでしょうか。
米6月利上げの織り込みは、これまでは比較的鈍かったでしょう。それには米第1四半期の景気鈍化の影響があったと思います。しかしここに来て、そんな米景気鈍化はあくまで一時的で、むしろ米景気回復は加速している可能性もあるとの見方が出始めました。
そうであれば、米金利と米ドルの米6月追加利上げを織り込む上昇は、これから本格化する可能性があるのではないでしょうか。(了)