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【マーケットエッジ株式会社】投資リスクとしての政治スキャンダルを考える

提供:マーケットエッジ株式会社 代表取締役 小菅努


トランプ大統領

トランプ米大統領とロシアとの不透明な関係を巡るいわゆる「ロシア・ゲート」が投資環境に大きな不確実性をもたらしている。昨年11月の米大統領選時からロシアがトランプ大統領誕生への働き掛けを行っているとの疑惑が浮上していたが、5月に入ってからは捜査トップであるコミー連邦捜査局(FBI)長官の電撃解任、更には側近である元フリン前大統領補佐官に対する捜査中止要請疑惑など、トランプ大統領とロシアとの関係を巡って連日のようにメディアがトップニュース扱いで報じているためだ。

一部メディアや野党・民主党内からは「司法妨害(obstruction of justice)」だとして大統領の弾劾手続きを求める声さえも聞かれる状況にある。弾劾手続きには下院で過半数、上院で三分の二以上の賛成が必要なため、上下両院でともに共和党が多数派を握る現状では、大統領弾劾のシナリオは実現可能性が高いとは言えない。しかし、こうした政治スキャンダルが中心テーマになれば、必然的に本来必要とされる政策を巡る協議に費やす時間は失われることになり、トランプ大統領のインフラ投資、大型減税、規制緩和といった政策に強い期待を寄せる現在の投資環境においては、米国の政治リスクからは目が離せない時間帯が続くことになる。

特にトランプ大統領が初外遊中も新たな疑惑が次々と報じられているため、大統領の帰国で一気に批判キャンペーンが盛り上がりを見せれば、改めて米国の政治リスクが株価急落、ドル相場の急落、金相場の急伸などをもたらすシナリオにも注意が要求される。

日米同時に政治スキャンダルが発生している背景

このような米国の状況をみていると、最近の日本の政治環境との共通項も目立つ。日本でも森友問題、加計学園問題と一部メディアや野党が政治スキャンダル化を狙い、重要法案の審議が十分に行われているのか疑問視されるような混乱状況に陥っている。メディアでも連日のようにトップニュース扱いで何等かの政治スキャンダルが報じられている。日本では、こうした政治環境が株安・円安を促すには至っていないが、日米で同時にトップの政治スキャンダル狙いの動きが活発化していることは極めて興味深い現象である。

もちろん、日米の問題は全く異なるレベルのものであり、政治スキャンダルの追求が悪いことではない。週刊誌的なレベルでの追及を国会で行う必要があるのかは疑問だが、政治においては必要とされるプロセスである。

ただ現在の日米の共通点として、強力なリーダーシップを持った大統領と首相が、民意の支持を背景に実現困難とされる政策実行を進める中、いわゆるリベラル系と言われるメディアが、「スキャンダル→トップ辞任」の一発逆転を狙う動きを活発化させていることは把握しておく必要があろう。

特にトランプ大統領はメディアに対して、事実を伝えずに偏見に基づく報道を行う「嘘ニュース(fake news)」と厳しい批判を繰り返しており、ニューヨーク・タイムズ(NY Times)などは名指しで批判されている。日本ではさすがに直接的な言及はないが、安倍首相のFacebookアカウントが、「朝日新聞は言論テロ」との投稿に「いいね!」を押したことが話題になるなど、日米トップとリベラル系メディアとの対立は激化する一方の状況にある。仮にフランスでルペン大統領が誕生していれば、フランスメディアも同じような政治スキャンダル探しを行っていた可能性が高い。

本稿では、こうした政治/メディア環境の是非について評価は下さない。ただ、マーケット的な視点では仮に「ロシア・ゲート」問題が収束に向かったとしても、今後も幾度となく同様の政治スキャンダル狙いの動きが発生する可能性は想定しておく必要があることには強く注意を喚起しておきたい。トランプ大統領の任期は4年のうちの4か月が経過したばかりであり、安倍首相に関しても2020年の東京オリンピック後の2021年まで続投する準備が整っている。このまま両トップが反リベラル的とされる政策を遂行していくことに嫌悪感を抱くリベラル層は特にメディアの中に多いが、世論・選挙は両トップを支持している(若しくは支持していた)以上は、民主主義的なプロセスによって任期を待たずにトップ交代を促すことは難しい。

こうした中、政治スキャンダルによる「一発逆転」狙いの動きは今度も幾度となく発生する可能性が極めて高いと考えている。政治スキャンダルが次々に発生しているのではなく、政治スキャンダルを起こそうとするエネルギーが働いている可能性が高い。足元では日米株価ともに堅調推移になっているが、ボラティリティ指数関連商品や金(Gold)などのリスクイベントに強い資産を平時(=リスクオン環境)の低迷局面において購入しておくことに、優位性がみられる時間帯が続きそうな情勢にある。リスクオン環境においても、突発的なリスクオフ化への対応が高いレベルで求められる投資環境が続く見通しである。良くも悪くも、「政治」や「地政学」が今年の中心テーマになっている。

日経平均ボラティリティ・インデックス

(出所)日本経済新聞社よりマーケットエッジ作成

米S&P500ボラティリティ指数

(出所)Reutersよりマーケットエッジ作成

※当記事は、投資に関する情報の提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。

提供:マーケットエッジ株式会社 代表取締役 小菅努