FX・仮想通貨・先物の最新業界情報メディア

Menu

【カネツFX証券株式会社】「米ドル/円」相場は上値が重く、上昇気配が希薄。「南アフリカランド/円」は買い気配が濃厚。藤田茂の「為替相場を斬る!」に潜入


藤田茂の「為替相場を斬る!」

2017年6月13日(火)13時から、東京駅・八重洲北口近くにある鉄鋼ビル8階の東京金融取引所のセミナールームで、カネツFX証券株式会社【関東財務局長(金商)第282号】主催のセミナー、「為替相場を斬る!」が開催された。あいにくの雨の日だったが、熱心な方々が集まった。講師は毎回お馴染みの、カネツFX証券コンサルティング部長の藤田茂氏。

「米ドル/円」が160円?

「5月に兵庫県の三宮市でセミナーを行っていたら、お客さんから『先生方のなかには、1ドル150円から160円になるという方もおられますのに、藤田先生は逆なんですね』と言われて、『えっ、どなたが?』と思わずびっくりして問い返してしまいました」

冒頭からそういって、最近では、「米ドル/円」が120円から130円になるというセミナー講師もいるが、このセミナーでは冷静に相場や、相場を取り巻く環境を見つめて判断していきたいと、藤田茂氏は参加者にちょっと釘を刺す。そして、「よりよい投資を長くやっていくためには、過激なセミナー講師の発言に促されないようにしたい」と参加者に念を押す。そしてこう続ける。

「米ドル/円」は上値が重い!

「『米ドル/円』は上値が重いですね」

藤田茂の「為替相場を斬る!」その理由として考えられるのは、ひとつは北朝鮮問題。このような問題があれば、長期的にポジションを持つのは危険で、短期的に売買をするしかない。そんな相場だから、「米ドル/円」もなかなか上がらない(円安方向にいかない)。もうひとつは、アメリカの景気刺激策。財源確保や歳出削減についてはまだまだ時間がかかり、法人税改革でも議会の合意が得られるかどうか未知数で、さらに、ロシアゲート問題がどうなるかで、「米ドル/円」は上がる環境ではない。114円から115円以上にいくためには、こういった問題がある。

さらに、アメリカの消費者物価指数。上がらないで、下がっている。量的緩和を第1弾から第3弾まで行った理由は、消費者物価を上げることと、住宅市場の改善、そして、雇用関連の改善のためであった。そして、経済大国のインフラ整備はほとんど完成しており、新規着工ではなく、修理が主体となっている。それでは、消費者物価指数は上がりづらい。それが今の経済大国の悩みでもある。

また、大手生命保険会社の外債投資も終盤を迎えており、次回は10月である。ということは、10月までは、円売り外貨買い材料がないということ。これから出てくるのは、日本の製造業者のドル売り円買いで、そのため、現在の「米ドル/円」は110円を割り込んでいる。

日銀はどうか。80兆円の国債購入を公表しているが、今のペースでは、年度末には、60兆円を割り込むのではないかという予想がおおかただ。国債の80兆円購入で株価を上げようとしているが、現実には縮小という流れになっており、それは円高を招く要因になる。

それらの理由から、「米ドル/円」相場が、115円から117円までいくのは難しい。いくとすれば年末だ。

さらに言えば、「ユーロ/米ドル」の影響も大きい。米ドルが売られて、資金がEUに戻っており、「ユーロ/米ドル」はユーロ高になっており、それも、「米ドル/円」が上がらない要因となっている。だから、「米ドル/円」の113円から114円の買い持ちはまだ早いということになる。

ジャネット・イェレン議長の記者会見に注目

本来なら、「労働市場情勢指数(失業率、労働参加率、平均時給や求人指数など19の指数で構成されている指数)」の発表は、毎月、第一金曜日に行われる雇用統計の発表後の翌週の月曜日に行われるが、6月は、FOMC(連邦公開市場委員会)のあとの、16日(金)に行われる。ということは、6月の利上げは確定的ということである。予想値は3.0。基準値が0として、それよりプラスであれば、ドル買い・円安要因。マイナスであれば、ドル売り・円高要因となる。

そして、イェレン議長の発言が、9月、12月にも利上げを示唆しているかどうかを判断するのも重要なことで、雇用関連や住宅関連、消費者物価指数などについて、どんな発言をするか、注目する必要がある。

米国10年国債利回りにも要注意

今年の5月10日、米国10年国債利回りは、2.599%へ上昇したため、「米ドル/円」相場は、114.35円をつけた。しかし、利回りの材料のひとつである消費者物価指数が低下(3月2.4%から4月は2.2%へ)が見られたため、「米ドル/円」相場は下落した。消費者物価指数の低下は、「米ドル/円」相場の上値を重くする。さらに、中国政府が米国債保有をぞかさせる用意があると報じている。そうすると、価格が上昇するため、利回りが低下傾向になると、「米ドル/円」は上昇しにくい。なぜなら、金利(利回り)の上昇は米ドル買いにつながり、金利(利回り)の下落は、米ドル売りにつながるからだ。

こうやって、「米ドル/円」を取り巻く、さまざまな環境を見ていくと、「米ドル/円」相場が上昇する材料はあまり見あたらない。

藤田茂氏はそう結論づけた。この後、ユーロ相場や豪ドル相場、南アフリカランド相場について解説を行った。

藤田茂の「為替相場を斬る!」

「ユーロ/米ドル」は上昇が?

ユーロ圏は、経済が順調に推移しており、欧州中央銀行(ECB)は、いよいよテーパリングの議論に入るだろう。米国への資金逃避が徐々に戻りつつあり、ユーロ売り持ちの巻き返しなどで、「ユーロ/米ドル」は1.1450ドルを目処として、上昇か?豪ドルは、貿易収支と、消費者物価指数が相場を左右するので、それらの経済指数に注目すべきだという。

次に、南アフリカ・ランドだが、南アフリカは、3月27日以降に政変があり、ズマ大統領は財務大臣を更迭し、8大臣、6副大臣の交代や、国債の格付けの下落などから、「南アフリカランド/円」は、8.95円から7.91円まで下落。

しかし、貿易収支の黒字が続いており、貿易収支が赤字だと、南アフリカランド売り、ドル買いで決済し、それが、南アフリカランド売り、円買いに繋がる。その逆で、貿易収支が黒字だと、米ドル売り、南アフリカランド買いで、南アフリカランド買い、円売りとなる。さらに、ズマ大統領の辞任観測が出ており、ランドが上昇する気配もある。したがって、南アフリカランドは、貿易収支と、政治の動向に注目する必要がある。

今回も藤田節は絶好調で、他のセミナーでは見られないユニークな視点と、的確な解説で、参加者は少なかったものの、みんな満足げな表情で、会場をあとにしていた。

藤田茂の「為替相場を斬る!」

藤田茂 プロフィール

カネツFX証券株式会社 エグゼクティブストラテジスト。

1975年にサンパウロ州立銀行東京支店に入行、外国為替・資金チーフ・ディラーを務める。1984年に東京短資(株)に入社しトウキョウフォレックス上田ハーロー(株)(旧トウキョウフォレックス)出向、営業本部シニアマネージャー兼FXセクション・ヘッド、業務本部業務副部長、経営管理本部統括業務副部長などを歴任する。2007年にはODL Securities LtdにてFXアナリストを、2008年にはai明治FX(株)にて取締役市場部長・営業部長役兼ヘッド・アナリスト、2009年4月には株式会社小林洋行にて外国為替部部長を務め、2011年6月より現職。

<辻 秀雄>