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【マーケットエッジ株式会社】中国が政策を引き締めれば、タイヤ価格が下落する?

提供:マーケットエッジ株式会社 代表取締役 小菅努


中国が政策を引き締めれば、タイヤ価格が下落

株価や為替相場と比較してコモディティ(商品)価格の値動きは激しくなり易いが、過去4ヵ月半で価格が半減したコモディティ銘柄が存在する。それが、自動車タイヤなどの原料に使われる天然ゴムである。

東京商品取引所(TOCOM)の天然ゴム先物相場は、今年1月31日に1㎏=366.70円を記録していたが、6月7日には一時178.80円まで急落し、累計で51.2%という驚異的な下落率を記録している。

中国が政策引き締めでイヤ価格下落

(出所)Reutersよりマーケットエッジ作成

天然ゴム需給の視点では、中国の自動車販売市場が鈍化している影響が指摘されている。中国では、景気対策の一環で小型車の購入に対する減税措置が導入されているが、今年に入ってから減税幅が縮小されていることが、新車販売にダメージを与えている。中国汽車工業協会の発表によると、5月の新車販売台数は前年同月比0.1%減の209万6,000台となり、2か月連続で前年実績を割り込んでいる。同協会は、9月まで市場の低迷が続くとの慎重な見方を示している。

もちろん、タイヤに関しては新車用以外に買い替え用タイヤの市場も存在するため、天然ゴム需要環境に与えるダメージは大きくない。それでも昨年後半に減税効果で急成長していた中国自動車販売が鈍化していることは、天然ゴム相場にとってネガティブな動きであることは間違いない。

中国の引き締め起点の急落相場

もっとも、最近の天然ゴム相場の急落に関しては、一概にこうした需給要因だけでは解説できない値幅になっている。

これは、天然ゴム、鉄鉱石、石炭といった中国の主要産業素材が、今年に入ってから一斉に急落していることからも理解できる。各コモディティ個別の需給動向にかかわりなく、中国のコモディティ相場は全面安の展開になっているのだ。

では、足元で中国のコモディティ投資環境がどの様な動きを見せているかというと、金融政策の軸足が「景気刺激」から「金融安定」にシフトしており、やや過剰とも言える引き締め政策が展開されている。市場の流動性が極度に低下しており、コモディティ市場をかく乱していた投機マネーも引き揚げ対応を迫られているのである。為替相場に目を向ければ、対ドルで人民元相場がリバウンド傾向を見せており、もはや投機的な人民元売り・ドル買いのオペレーションにもブレーキが掛かっていることも窺える。

これは、「流動性難による資金引き揚げ」と「人民元高による人民元建てコモディティ価格の値下がり」という二つの大きなエネルギーが天然ゴム相場の値下がりを促し易い状態になっていることを意味する。

もちろん、中国当局としても、自らの引き締め政策が過度のレベルに達することで、世界経済の回復の芽を摘んでしまうようなことは望んでいない。特に6月入りしてからは流動性引き締めが一服しており、中国経済がハードランディングするとの一部に広がっていた懸念は後退している。中国株も安値から若干の立ち直りを見せており、投機マネーの活動が再開されていることが窺える。

ただ、今年は中国共産党大会で最高指導部の入れ替えが控えており、中国の習近平政権は「安定成長の維持」と「金融リスク抑制」の二つの目標の狭間で難しいかじ取りを迫られている。金融政策の軸足が「安定成長の維持」にシフトした局面では天然ゴムに安値是正の動きが強まることになるが、「金融リスク抑制」という基本方針が崩れない限り、天然ゴム価格の上昇には強力な限界が設定されることになる。

中国が政策を引き締めれば、タイヤ価格が下落

天然ゴム農家は春から冬へ

生産地では余りに急激な値下りに悲鳴の声も上がり始めており、一部では農家の在庫売り渋りといった動きも報告され始めている。ただ、国際ゴム相場の形成に大きなインパクトを有している上海ゴム市場に投機マネーが再流入する余地が限定されている以上、産地が天然ゴム価格の低迷に抵抗を見せても、ゴム相場の反発余地は限定されることになる。

天然ゴム農家は昨年後半以降の天然ゴム相場高騰で我が世の春を満喫していたが、中国の金融政策の変化によって、一転して厳しい冬の時代を迎えつつある。目先は中国の「金融リスク抑制」の軸足が大きくブレる可能性は低く、天然ゴム農家にとっては逆説的ながら景気鈍化によって中国の引き締め政策が緩んだ方が望ましい状況になるのかもしれない。

※当記事は、投資に関する情報の提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。

提供:マーケットエッジ株式会社 代表取締役 小菅努

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