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【その男の名は高木清明】Vol.21 須藤と佐橋の資金回収とは?


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「馬鹿野郎、俺は何も知らねえよ。兄貴たちについてきただけだ」
リーゼントはそれでも何とか腕を振りほどこうともがいた。しかし、がっちり固めた宍戸の腕が動かないと分かると、開き直ったようにしゃがみこんだ。
「今逃げて行ったのは柳興業の木村という男です。その男は手下の山崎です。」

清明に支えられた佐橋が小声で宍戸に告げた。「門前仲町界隈を縄張りにしている暴力団です。今日は単に脅しをかけにきただけでしょう。理由は分かっていますから、その男も放してやっていいですよ」

「しかし、それならそれで交番に連れて行って、届けぐらいは出されておかれた方がよいのでは? あいつらまた来ますよ」

腕を締めたまま宍戸が言い、「おまえは山崎というのか、覚えておくよ」とリーゼントに言った。
「俺は蛎殻町の光栄物産の宍戸というものだ。佐橋さんは俺達の会社のお得意様なんだ。怪我をさせるようなことをしてもらっては困るんだよ。」
リスクマネジメントという言葉が相場にあるが、武術家の心得として通常であれば、宍戸が暴力団と分かった怪しい連中相手に己の素性を明かすようなリスクあることはしない。
それをあえてしたのは佐橋が日頃から世話になっている須藤専務の仕事を深く手伝っているという繋がりで、もし、須藤が危ない橋を渡っているなら光栄物産の須藤にも彼らの手が及ぶ可能性を感じ、万が一の際には自分が盾になって佐橋を守るというより須藤を守るという心からであった。

「分かったよ、おじさん。社長にそう伝えておくよ。兄さん、いい加減手を放してくれよ。あんたが強いのは分かったからさ」
手を放した宍戸に、リーゼントは「光栄物産ならいずれにしろ、こっちから挨拶に行かせてもらうさ」と捨て台詞を残して走り去った。
わけが分からず、佐橋に向き直った宍戸が「何ですか、あれは?」と問いかけた。
「宍戸さんたちが知る必要もないと思います。しかし、名前を言った以上、宍戸さんに迷惑がかかる可能性もありますねぇ」

佐橋は言い、清明を振り返り、「すみませんが、腰を痛めたようです。ついでに事務所まで連れて行っていただけますか? すぐそこですから」と歩き始めた。その腕を支えながら、清明は佐橋に「連中も、今回の粗糖に関係してくるのですか?」と尋ねた。
光栄物産という名前に反応したところをみると、あのリーゼントが商品先物取引業界を知っているのは間違いない。挨拶に来るという言葉から、光栄物産の場所も知っているのだろう。ただのチンピラが、そこまで知っているはずはないから、佐橋の今回の取引にも関係していると考えていいのではないかと思いを巡らせたのだ。
案の定、佐橋は頷き「多少は」と答えた。「ただし、直接にではありませんよ。かれらは、先ほど言った今の私の仕事に関係しているだけです。あっ、ここです。少しだけ上がって行かれませんか?」

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豊田商事と永野の相場始末

<益永 研>

この物語は実話に基づいているが、登場人物や企業名はすべて架空のものである。

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