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【その男の名は高木清明】Vol.19 暴漢の標的となった佐橋。



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暴漢(前編)

店を出て、事務所に戻るという佐橋と別れて30秒もたたないうちに、佐橋が曲がった道の向こうから突然、何かがガラガラと崩れる音がした。

宍戸と共に走って戻ると、道の端にいくつもの灯油を入れるアルミ缶が散らばり、その中に佐橋が倒れていた。そして、さきほど店を出た3人の男たちがアルミ缶の向こう側から佐橋を見下ろす形で立っているのが見えた。

「佐橋さん!」

清明は佐橋に駆け寄り、肩を抱いて起こした。アルミ缶が頭に当たったのか額に薄く血がにじんで見えたが、道が暗いので、どれほどの傷かは分からない。ただ、意識はあり、「佐橋さん、どうしました?」と聞いた清明に、佐橋は「分かりません。突然、何かが崩れてきて」とはっきりと答えた。

その傍らで宍戸が3人に向かって立ち、「あなたたちがやったんですか?」と尋ねた。3人が店を出てからすでに5分以上はたっていた。待ち伏せでもしないかぎり、この3人がここにいるはずはなく、宍戸の問いかけは当然といえた。

「さぁ、俺らはたまたま居合わせただけだよ。そのおじさんが、酔っぱらって自分で灯油缶の山にぶつかったんだよ。けっこうな勢いだったから、ブロック塀だったら大ケガしてたかもな。まぁ、かすり傷で良かった、良かった」

3人の中では一番若い皮ジャンを着たリーゼントの男が、冗談めかして言った。その口調は、3人がたまたま居合わせただけでないことを清明と宍戸にもはっきりと伝えようとしていた。

「おまえたちは、いったい何者だ?」

宍戸が口調を改めて問い直した。立ち去ろうとしない3人の様子に、このままではすまないと感じたようだった。

「おっ、この人やる気になってるぜ。おじさんを放り出して、黙って帰った方が良いんだけどなぁ」とリーゼントが言い、横にいた皮のジャケット姿の男が、「俺らは、このままじゃ中途半端で帰れないから、少しおじさんと話したいんだ。あんたら、黙って帰ってくれない?」と、これも軽い口調で宍戸に頼む素振りを見せた。そのくせ、3人とも徐々に宍戸との間隔を詰めてくるのは喧嘩慣れしているのに違いない。

それを見た清明が佐橋を支えて立ち上がると、宍戸は「少し下がっていてください」と清明にささやき、自分は一歩前に出た。

宍戸が父から学んできた 天道流合気柔術は、合気之術、柔術、拳術、剣術、居合術、杖術、棒術と、他の古武道にみられるように総合武術として戦国時代から伝えられてきたものだ。

宍戸は中でも合気柔術と剣術を得意とし、寮で暮らしている今も、朝晩の型稽古だけは欠かしていない。

NEXT :11月2日木曜日更新
暴漢(後編)

<益永 研>

この物語は実話に基づいているが、登場人物や企業名はすべて架空のものである。

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