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【その男の名は高木清明】Vol.6 敦子と情を交わす


その男の名は高木清明 Vol.6

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敦子

その夜、メキシコ料理店を出た清明は、敦子と共に歌舞伎町にあるホテルに入った。

付き合い始めてまだ2年足らず、2人だけになる機会も少なかったが、清明は、最初に敦子と関係ができた時から敦子との相性が良いと感じていた。と同時に、歩いているときでさえ、常に敦子に接していたいという強い欲望が抑えられない自分に、我ながら驚かされた。それは、少なくとも、これまで付き合った何人かの女性には感じなかった性的欲望だった。

以前は、清明のそういう積極さをさりげなく避けていた敦子だったが、最近はそれも様子が変わってきているとも感じる。特に1か月ほど前に、シカゴで濃密な時間を過ごしたこともあって、清明としては、一気に敦子との距離が近くなったと感じるのである。

ホテルに入り、それぞれシャワーを浴びた後、この夜はそんな自分の気持ちを、率直に敦子にぶつけてみた。

「会社にいるときも、君を見たら抱きしめたくなる。出来れば、毎日、一緒にいたい」

その男の名は高木清明 Vol.6それに対する敦子の返事は、「私も同じ」という言葉と、唇へのキスだった。チャンスがあれば、「結婚」という言葉も出してしまおうとさえ考えていた清明だったが、結局、何も考えず、欲望のままに敦子を「征服」するため、バスタオルを外し、お椀型の敦子の乳房へと手を伸ばした。

清明はその後、再びシャワーを浴びに行った敦子を待ちながら、ベッドを出る前に、敦子が小声で言った言葉を反芻していた。

「清明さんは、男は女を征服するんだと言ったことがあるけど、私はちょっと違うの。私は、清明さんに抱かれる時、私が清明さんを『包んでいる』と感じるの」

それは、敦子の母性を感じさせる言葉だった。同時に、性的にも清明を好きだと言ってくれているという意味なのだと、清明は思いたいのだが、その一方、本当にそうなのかとも思ってしまう。男としての清明はまだまだ、と言われているようにも感じるのは、経験不足からの自信の無さなのだろうか。

それでなくても、敦子についてはまだ、よく分からない部分がある。離れて暮らしていたこともあるが、彼女がこれまで誰と、どういう形で付き合ってきたのかはもちろん、彼女自身が今後、どういう人生を思い描いているのかすら聞いたことがない。結局、今の自分はただ、敦子と一緒に時間を過ごしたい、抱いていたいというだけの欲望の塊でしかないのかもしれないと、清明は苦笑した。

敦子と入れ替わりにシャワーを浴びて、ホテルを出てから、清明は、自宅に帰るという敦子を、JR新宿駅に向かう途中で目に付いたバーに誘った。敦子のためにテキーラサンライズ、自分にはワイルドターキーのロックを注文した後、清明は、改めて、須藤の話を蒸し返した。

「実は俺、これから須藤さんと一緒に仕事することになる。そこで一応聞きたいのだけど、今の須藤さんには、特に問題はないんだよね?」

敦子は、軽く頷いて、「実は」とこれも清明には思いもつかなかった話をし始めた。

その男の名は高木清明 Vol.6

「これも社内では内緒にされているけど、須藤さんの部下の一人が経営している金融会社があるの。そして、その会社は豊田商事が破産した後、しばらくの間、管財人に協力して、当時のお金の流れを調査して、取り立てにも協力していたらしいの。それというのも、管財人グループの方にも、もともと須藤さんは、永野会長が豊田商事を設立した時からの御指南番の一人だったという情報があったからだそうよ。だからこそ、管財人は、須藤さんが豊田商事のお金の流れにも詳しいと考えていたわけ。実際、須藤さんは、事件後数か月間、拘置所に入ったらしいけど、結局無罪放免になっているわ。だから、法的には、須藤さんがウチで働くこと自体に問題はないの。けれど、信用が大事なこのビジネスで、そういう人を雇うのはどうかと、大崎常務はまだ言っているわ。もし、高木さんが今後、須藤さんと近い所でお仕事をされるなら、大崎常務のこういう考えだけは知っておいた方が良いかもしれない。須藤さんは、高木さんにとっては多分、面白そうな人だから、逆に、近くなりすぎると心配」

「なるほど、分かった」と敦子に感謝の相槌を打ったものの、この時、清明の頭に浮かんだのは、「豊田商事の御指南番」というのは、何の御指南番だったのだろうという単純な興味だった。これまでの話からまず考えられるのは営業の指南だろう。それなら一度、昔話を聞いてみたいものだと思ったのである。

NEXT :6月22日 木曜日更新予定
宍戸貫一

<益永 研>

この物語は実話に基づいているが、登場人物や企業名はすべて架空のものである。

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