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アジア投資 Research Memo(6):国内PEファンドの新設や、低コストの再生可能エネルギー開発に一定の成果

■活動実績

日本アジア投資<8518>

1. プライベートエクイティ(PE)投資の実績
PE投資については、厳選した有望企業13社(国内9社、海外4社)に対して1,205百万円(前期は16社に対して1,131百万円)とほぼ前期並みの実績を残した。注力する「QOL関連」や「IT・インターネット関連」の比重が高い。既投資先に対する追加投資も含まれており、リードインベスターとしての役割も積極的に担っている。内訳については、「JAIC企業育成ファンド(ベンチャー企業向けセカンダリーファンド)」から3社、「瀋陽ファンド(中国瀋陽市の成長企業ファンド)」から3社、「はばたく未来ファンド(国内再生企業ファンド)」から1社、同社本体資金から6社となっている。

2. 再生可能エネルギー事業投資の実績
既に建設中のプロジェクト(6件)を含め、11件に対して2,681百万円(前期は17件に対して3,184百万円)の投資実行を行った。そのうち、メガソーラープロジェクトは、新規投資5件(47.7MW)及び期中売却9件(81.8MW)により、2018年3月末の保有プロジェクトは企画中のものを含めて19件(79.7MW)※1と減少したが、依然として高い投資水準を維持していると言える。その内訳は、売電中が9件(21.1MW)、建設・企画中が10件(58.6MW)となっている。また、メガソーラー以外の再生可能エネルギーへの取り組みも推進しており、食品残渣等の有機廃棄物の処理に伴い発生するメタンガスを活用するバイオガスのプロジェクトへの投資も行っている※2。

※1 そのうち、同社出資持分は40.1MW。なお、2017年3月末では合計23件(113.8MW)、うち同社出資持分は67.0MW。
※2 メガソーラー以外の再生可能エネルギープロジェクトは、本件(建設中)のほか、木質バイオマス(2018年3月期より売電開始)、風力(企画中)の合計3件が進行中である。


3. 2018年3月期の行動計画と実績
(1) 国内PE投資向けファンド設立
大手金融機関とのベンチャー投資向けファンドの設立を目指すとともに、事業承継型バイアウト向けファンドやグロース投資向けターゲットファンドの設立にも取り組んできた。その結果、あおぞら銀行<8304>との共同出資により事業承継型バイアウト向けファンド(サクセッション1号)を新設した(2017年6月26日)。拡大している国内中小企業の事業承継問題の解決と地域創生への貢献を目的としている。ファンド総額10億円からスタートし、2018年6月に16億円に増額している。今後も、ニーズの大きい地域金融機関等からの追加出資獲得により30億円にまで拡大する計画である。

一方、同社が目標としている国内ベンチャーファンド(50億円)の設立については実現に至っていない。苦戦している背景には、CVC※の台頭や特定分野(ITやバイオなど)への特化型VCファンドなどの設立が続くなかで、資金を集めにくくなっていることも要因としてあるようだ。同社では、今後も実現に向けた募集活動を継続していく構えだ。

※コーポレートベンチャーキャピタルの略。事業会社が事業シナジー等を目的として設立するベンチャーキャピタルのこと。


(2) 国内PE投資の投資領域拡大
運用資産の拡大に向けて、ベンチャー投資を基幹領域としつつ、スモールキャップ企業への投資や事業承継型バイアウト投資など投資領域の拡大にも取り組み、その結果、事業承継型バイアウト向けファンドの新設を実現するに至った。また、スモールキャップ企業への投資についても、過去の投資先である上場企業との関係再構築や、「JAIC経営者倶楽部2017.07」の開催等を通じて、投資先の発掘に注力している。

(3) 高採算の再生可能エネルギープロジェクトへの投資
固定買取価格(FIT価格)の高いプロジェクトのセカンダリー案件を獲得するとともに、20円台のFIT価格でも利益の出る低コストの開発手法の研究に取り組んでいる。2018年3月期においては、新規プロジェクト5 件に投資を行ったが、FIT価格40円の大型プロジェクトがあった一方、同社にとって初めてとなるFIT価格20円台(24円)のプロジェクトも含まれている。低コストで開発可能な案件※1であったことが投資に至った経緯であるが、本件をきっかけに事業拡大の余地がさらに広がる可能性もある。また、「発電」と「農作物栽培」とで太陽光をシェアする「ソーラーシェアリング」といった新しいスタイル※2や、前述したとおり、メガソーラー以外のプロジェクト(バイオガスへの投資等)でも実績を残すことができた。

※1 平坦な地形等により、造成コストを低水準に抑えることが可能。
※2 農地に支柱を立てパネルを設置し、その下で小麦や大麦を栽培するスタイル。すなわち、農業を続けながら、太陽光発電を行うことが可能となっている。農地は、日照に優れた平坦な土地が多いため、コストパフォーマンスを高める効果が期待できる。


(4) First Easternとの協業推進
2015年12月に締結した香港の大手投資グループFirst Easternとの資本業務提携は、大型ファンドの組成と投資活動を共同で行うことを目的としたものである。その第1弾として、インバウンド関連等の国内企業を投資対象としたグローバルファンドを設立(100億円)する方針としている。立ち上がりまでに時間を要してきたが、推進のための社内体制を整備するとともに、国内向けの共同出資ファンド設立に向けて実務レベルの協議を開始したようだ。

(5) 売却益の獲得
2018年3月期においては、「PE投資事業」における株式売却が下振れたものの、メガソーラープロジェクト9件(合計81.8MW)、及び同社初となる高齢者施設プロジェクトの売却を実現し、約18.3億円の売却益を獲得するに至った。

なお、メガソーラー事業投資については、メガソーラープロジェクトを投資対象とする上場REITが設立されるなど、投資したプロジェクトを継続的に保有するだけでなく途中で売買するための制度基盤が整備されつつあり、計画当初と比べて外部環境は大きく変化している。同社では、外部環境の変化を前向きに捉えて、中長期的な安定収益に加え、投資案件の一部売却による短期的な収益への貢献も選択肢に入れつつ、更なる事業規模の拡大を目指す方針である。なお、2018年3月末の保有プロジェクト19件(79.7MW)のうち、同社出資持分(40.1MW)への投資実行額累計は35.8億円。仮に2018年3月期売却分の平均投資倍率(1.7倍)で売却できると仮定した場合、約25億円(35.8億円×0.7)の含み益が存在していると言える。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)

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